野いちご源氏物語 四六 椎本(しいがもと)
夜が明ける前にご出発なさろうとして、姫君(ひめぎみ)たちのお部屋へお行きになった。
「私がいない間、心細く思ってはいけませんよ。元気を出して音楽などをしていらっしゃい。何事(なにごと)も思うようにはいかない世の中なのだから、思いつめてはいけない」
などとおっしゃって、ふり返りがちに出発していかれたわ。

おふたりの姫君はどんどん心細くおなりになる。
「姉妹がいなかったら、とてもこんな境遇(きょうぐう)では生きていられないでしょうね。今日どうなるか、明日どうなるかも分らない人生で、もし離れ離れになってしまったら。あぁ、想像するだけで恐ろしいわ」
と、泣いたり笑ったりなさる。
どんなことにもおふたりはご一緒に取り組まれる。
お互いになぐさめあい、(はげ)ましあって、(はち)(みや)様のお帰りを待っていらっしゃるの。
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