野いちご源氏物語 四六 椎本(しいがもと)
匂宮(におうのみや)様のことを()(くだ)していらっしゃるわけではない。
走り書いたようなさりげないご筆跡(ひっせき)もお言葉も、いつも風情(ふぜい)があって上品だわ。
何通かのお手紙からだけでも、「これこそが都の(とうと)いお方だ」というのが伝わってくる。
そんなご立派な雰囲気で優しいことを言ってくださると、姫君たちはお返事が書きにくい。
<私たちなどと()り合う方ではいらっしゃらない。愛想(あいそ)のない頑固(がんこ)な女として、この山里(やまざと)で生きていこう>
と決めこんでいらっしゃる。
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