野いちご源氏物語 四六 椎本(しいがもと)
霞がかった山の桜は、散る花も開きはじめた花もいろいろで風情がある。
川沿いの柳が風になびいて川に映りこんでいるのも楽しい。
貴族たちはふだん見慣れない景色に感動して、出発しにくく思っている。
薫の君は、このついでに八の宮様の山荘を訪れたいと思っていたけれど、なにしろ人目が多い。
小舟に乗ってひとりで川の向こう岸に渡るのは、あまりに軽々しく見える。
諦めようとなさったところに、八の宮様からお手紙が届いた。
「音楽の音色はこちらまで響いてまいりましたが、あなたのお声は一言も聞かせてくださらないのでしょうか」
優美に書かれたお手紙だったわ。
匂宮様もご覧になって、薫の君の代わりにお返事を書くとおっしゃった。
「宇治川がお互いをへだてていても、私の思いを風に乗せて届けましょう」
とお書きになったみたい。
川沿いの柳が風になびいて川に映りこんでいるのも楽しい。
貴族たちはふだん見慣れない景色に感動して、出発しにくく思っている。
薫の君は、このついでに八の宮様の山荘を訪れたいと思っていたけれど、なにしろ人目が多い。
小舟に乗ってひとりで川の向こう岸に渡るのは、あまりに軽々しく見える。
諦めようとなさったところに、八の宮様からお手紙が届いた。
「音楽の音色はこちらまで響いてまいりましたが、あなたのお声は一言も聞かせてくださらないのでしょうか」
優美に書かれたお手紙だったわ。
匂宮様もご覧になって、薫の君の代わりにお返事を書くとおっしゃった。
「宇治川がお互いをへだてていても、私の思いを風に乗せて届けましょう」
とお書きになったみたい。