恋愛期間0。彼の毒はスイーツより甘かった。(仮)


「で、俺はどうしたらいいわけ?」

 一時間もしないうちに塩田が車でやって来た。
 恐る恐る運転席側の窓を開けて、あのオジサンが居ない事を確認する。

「ごめんなさい」
 
 咄嗟とは言え、何で、この人に電話してしまったのか。しゅんとする私に意外にも慈悲めいた言葉を掛けてきた。

「……聞こえてたけどあんなの絡まれたらビビるわな。良かったな、俺が同県内に居て」

 私は素直に頷いた。

「手が痛いって、乱暴されたのか?」

 塩田が目で合図するから、助手席のロックを解除し乗車して貰う。

「捕まれただけ。元々、手痛めてたの」
「仕事何してる?」
「元パティシエ」

 塩田のスッキリした目元がやや大きくなった。

「パティシエってお菓子作るの?」
「ええ、そう」
「意外」
「何でよ」
「中華鍋回してる方がしっくりくる」
「悪かったわね、スイーツってキャラじゃなくて」

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