恋愛期間0。彼の毒はスイーツより甘かった。(仮)
 褒められた気はしないが、直感で塩田は危険な奴じゃないと思い、契約書にサインをした。

「大丈夫、顔と声出さなくても再生数稼げるから。ほら、早く移れ」

 塩田に促され車にお邪魔する。
 同じ軽自動車なのに、お洒落だし広く感じた。電子レンジもあるし、ちゃんと車中泊仕様になっている。

「ありがと」

 手首の手当の礼を言うと、「ん」と素っ気なく返され、「ほらよ」と温めたおにぎりを差し出された。

「食いながら打ち合わせしとくか。あと、記事の為のインタビュー録音も」
「行き当たりばったりじゃないんだ」
「当たり前だ。事前にリサーチして構成考えるし撮影許可も取る」
「へぇ」

 感心する私に、塩田は録音機能をオンにしたスマホを傾ける。

「″唐津うみ″か、シャレてんのかそうでないのか分かんない名前だな」

 分かる。うみって名前は可愛いけど名字と合わさると、なんか微妙なのよ。

「からすみを連想させるのかもな」

 ……珍味かよ。

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