恋愛期間0。彼の毒はスイーツより甘かった。(仮)
「パティシエを目指したのと退職の理由は?」

 静かな車内で塩田の聞き取りは続く。

「私、誕生日が12月26日なのね」

 塩田の眉が、くいっと山を描いた。

「オチわかったぞ」「オチとか言うな」

 ――Xmas翌日の誕生日。
 ケーキはXmasと一緒。なんならプレゼントも。
 親から誕生日をぞんざいにされる。
 11月生まれの妹は、ちゃんとお祝いされるのに。

「それで自分でケーキ作ろうと思ったのか。食い意地張ってんな」
「子供ってそんなもんでしょ?」

 小学生の頃からお菓子作りと部活に励んだ。
 忙しかったけど楽しかった。
 自分が食べるだけじゃなくて、家族や友達に「美味しい」って言われるのが嬉しかったから。

「それで職人にまでなろうとか、どんだけ好きなんだよ」
「……」

 だけど、今はそこまで好きじゃない。




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