恋愛期間0。彼の毒はスイーツより甘かった。(仮)
 いきなり呼び捨て。
 それでも抵抗を感じないのは、塩田のキャラのせいかも。
 媚びない、作らない、そして少し毒舌。

「とりあえず、お風呂入ってないから温泉、あとコインランドリーに行きたい」

 観光より、現実的な快適さを優先したい。
 塩田はニヤッと笑った。  

「リアルなのも人気出る」
「素材がこれでも?」
「編集次第だよ」

 首から上は映らない角度でカメラを車内に取り付ける。
 温泉までの移動風景、コインランドリーに洗濯物を入れる所作まで撮影していた。

「サムネ用に色んなカット欲しい」

 塩田は車の全形や車内を複数枚撮った。
 物だけだと味気ない、と私が奴のパーカーを被った後ろ姿も。

「これ、パクリじゃない?」

 こんなユーチューバー他にいたような?

「顔隠しにパーカー&マスクはいっぱいいる」

 その夜はRVパーキングに並んで停泊し、夕飯までを撮影した後は各々の夜を過ごすことに。

「どれだけ撮れたら解散なの?」

″オヤスミ″の後の問いに、塩田は「さぁ」と答えた。

 一人になって契約書に目を通す。
 期間は一ヶ月。

 動画本数の縛りはなかった。

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