恋愛期間0。彼の毒はスイーツより甘かった。(仮)
 動画一本目の編集は一晩で終わったらしく、まだ非公開のそれを塩田が見せてくれた。

 見た瞬間、「おぉ」と思わず言ってしまうくらいちゃんとしたモノだった。

 チャンネル名【軽バンらいふ】。
 サムネはバックドアを開放して私がマットの準備をしている後ろ姿。下から撮ったアングルがいいのか、それがめちゃカッコいい。

【仕事やめて車中泊スタート ①車内紹介】

 まんまのチャンネル名や投稿タイトルも、視聴者にストレートに伝える為らしい。

「車中泊しない人も、車中泊仕様には興味あるからそこそこ数とれるんだ」

 私が声を出しているわけでなく、撮られていた車内装備をテロップで紹介。
 途中に、私が専門職を離れて、家も引き払った話も挿し込んでいた。

「これ、いる?」
「これ以上の食い付きネタないだろ」
「……なら、いっそ ″ホームレス″入れるとか」

 塩田は、ダメだと言った。

「車も持たずに野宿してる人からしたら、うみは甘っちょろい」
「……」

 ″お前も似たようなモンだろうが! お前も直ぐにこっち側になるんだよ!″

 ホームレスらしき人の怒り声は記憶に新しい。

「……そ、だね」

 怖かった。
 ネット上とは言え、もう怒られたくない。
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