恋愛期間0。彼の毒はスイーツより甘かった。(仮)
 とうとうオープンしたのか。
 もしかしたら、シェフとして任されるかもしれないと思っていた店舗。
 複雑な思いで店の前を通り過ぎようとしたら、

「何でスルー?」
 
 塩田に腕を掴まれた。

「察して」

 低い声で答えても、「あ、そういう事か」としたり顔でその手を離さない。

「何も悪い事してないんなら逃げる必要なくね?」
「逃げてるわけじゃない」
「意外と気が小さいな」
「はい?」

 根性が座ってるつもりはないが、弱虫みたいに言われると腹が立つ。

「気まずいでしょ、円満退社とは言い難いんだから」

 それなのに塩田は何がしたいのか、一人で店へ向かって行く。

「俺はあの店のマカロンが食いたいんだよ」

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