恋愛期間0。彼の毒はスイーツより甘かった。(仮)
「いじけやがって」

 塩田は、米粉のロールケーキを買って車に戻ってきた。

「ブスッとしてないで食えよ」

 勝手に湯を沸かしお茶の準備を始める。撮影はしないようだ。
 紙皿に切られたケーキとマカロンが並ぶと、悄気た気分が少しだけ持ち直す。何だかんだと時にはやはり甘い物も必要だし満たされた気持ちになる。
 塩田が先に口にしたのは米粉のロールケーキ。
 奴の細い目が大きくなる。

「何だコレ、雪じゃん」

 口溶けを意識して考案した私には、最高の褒め言葉だ。
 米粉はモチモチ感が売りだが、スポンジはふんわりが良い。
 原産地にこだわり、メレンゲや油の分量も細かく何度も調整して出来た米粉ロールのレシピ。
 ……もう、私のじゃないけど。

「まるで飲み物だな。いくらでも食えるわ。美人シェフのインスタ、フォローしようかな」

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