恋愛期間0。彼の毒はスイーツより甘かった。(仮)
 モヤモヤする。
 レシピを考えたのは私。
 でも、今の目の前のロールケーキを作ったのは別のパティシエで、あの高部シェフが表に立ってプロモーションしている。
 私が不満を漏らすのはお門違いだ。
 それでも、心が落ちていく。

「このシェフ、他にも凄いの作ってねーの?」
「さぁ」
 
 感情を押し殺してマカロンを食べていたはずなのに、

「え、何で泣いてんの?」

 気持ち程度の私の涙に、塩田が気が付いた。

「……その苔色のマカロン、ヤベーの?」
「苔って、ピスタチオ味だよ」

 でも笑ったら直ぐに乾いた。

「もう、お菓子は作りたくないわけ?」

 あぐらをかいていた塩田が、録音の為に私にスマホを向ける。







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