恋愛期間0。彼の毒はスイーツより甘かった。(仮)
「……きゃ…っ!」

 熱さと稲妻のような炎に身体が竦む。

「うみっ」

 塩田が私を抱え、炎から離し、側に置いていたバケツの砂を炎にかけた。火柱が一気に鎮った。

「……あ、……」
「火の扱いは気をつけろよ」
「…ご、…ごめ、ん」

 ようやく声が出た私は、塩田の火傷に気が付いた。

「それ、冷やさなきゃ」

 白くて芸術のように美しかった男の手に、痛々しさが広がっている。

 ごめんなさい。
 私なんかのために。
 心の中で何度も謝った。

「ちょっと行ってくる」

 一人で流し場に行こうとする塩田に付き添った。

「痛い?」

 水ぶくれにはなっていないが、火傷の範囲はピンポン玉位はある。

「こんだけ冷やしてれば大丈夫だろ」

 キャンプ場で長時間流しっぱなしは気が引けるが、ブームが過ぎ利用客が殆ど居なかったから良かった。
 流水で冷やした手は青白くなっていた。

「もし痛かったら病院行こう」
「大袈裟だな」
 
 塩田はいつもの調子で車の所に戻り、「いいネタが出来たな」と、焦げたスフレケーキを撮影し始める。

「いっそのこと私が火傷すればが良かった」

 そっちの方が余程ネタになったのに。
 呟く私の頭を塩田が肘でごついた。

「アホ。そんなんなったら俺が責任取らなきゃいけなくなるだろ」











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