恋愛期間0。彼の毒はスイーツより甘かった。(仮)
 餞別……。
 追い打ちかけるような事を言って、塩田が六千円もする国産の上り車海老のパックを手に取った。
 塩田って意地悪な事を言う癖に気前がいい。
 他に肉や野菜もカートの籠に入れていき、精算してくれた。
 これ、撮影してアップするのかな?
 無職なのに贅沢過ぎるって叩かれない?
 察知したらしく、塩田が、気にすんなと私の背中を叩いた。

「タイトル、″最後の晩餐″だから」
「え」  

 動画撮影は終わるけど、車中泊はまだ続けるつもりなのに?
 
「早く車出せ」

 急かされ、突っ込めなかった。

 区画に戻り、バーベキューの準備をしていると、一人の男性が声を掛けてきた。

「文哉? またキャンプ始めたのか?」

 塩田の知り合いらしい。

「金山さんこそ」
「お前、今、動画編集とかやってんだろ? 稼げてる?」
「まぁ、ぼちぼち」

 大学時代の先輩だというその人は、いかにもサーファーって感じで日焼けした肌が眩しかった。
 今夜は大型キャンピングカーで泊まるらしい。

「こんにちは、塩田の彼女?」 


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