恋愛期間0。彼の毒はスイーツより甘かった。(仮)
「何の事?」

 しらばっくれるが、高部さんは無遠慮に私の車を覗き込み、大袈裟に手を叩いて喜んだ。

「やっぱ、そーだわ! 【軽バンらいふ】だ。この可愛くない車。本人と一緒で洒落っ気ないんだもん」
「高ちゃん、言い過ぎだよ」

 金山さんが高部さんを窘め、

「唐津さんて中性的だけど、結構いい線いってると思うよ」

 腕を組みながら、私を舐め回すように見て言った。
 何で上からなのよ。

「どうも」

 とだけ言って、隣で突っ立っている塩田に洗った野菜を渡す。
 早く立ち去って貰わないと、最後の撮影と晩餐に響く。

「何か塩田と合いそうなクールな彼女だよね」

 気を悪くした風でもない金山さんに対し、高部さんはムッとして悪態をつき続けた。

「塩田さんてイケメンなのに、こんな、うすーい人が好みなんですか? あ、顔だけの話じゃないですよ? 仕事ぶりも含めて、だぁれも唐津さんが辞めた事嘆いてないんですよ、凄くないです?」

 トマトと包丁を持ったまま、塩田が高部さんに視線を移した。

「高部シェフのインスタ、俺フォローしたんだよ。美人だったから」
「え?」
 



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