恋愛期間0。彼の毒はスイーツより甘かった。(仮)
 美少年?
 私二十九歳だよ。
 悪い気はしなかったが、スルー。
 シートを倒したり夜の準備を進める横で、

「言い過ぎた、女を全く感じなかっただけ」

 と、わざわざイヤな方に訂正してきた。ムッとする私に尚も話しかけてくる。

「今夜はここに泊まんの?」
「あなたに関係ない」
「一緒に人気ユーチューバー目指そうぜ」
「は?」

 男が言うには、社会からはみ出した若者が車中泊で一人旅をする動画に上げたいのだそうだ。
 社会からはみ出しって、……間違ってはいないけど。

「断る」

 旅は一人で楽しみたいし、晒し者になる気はない。そもそも失礼過ぎるし。

「顔は映さないし、収益は半分渡す」
「要らないし迷惑だからつきまとわないで」

 無職の私にとって収益という言葉は魅惑的だったが、こんな見ず知らずの男に協力する義務はないし何より信用出来ない。

「そのゲロ塩対応はキャラ付け? それとも元々クーデレ?」

 ゲロ?
 クーデレ?
 意味分かんないこと言ってんじゃないよ。

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