君の事好きになっても良いですか?
「理央、あのね。」
「お昼休憩の時ね。」
私は、指先をグラスに添えながら、
ゆっくり言葉を選ぶ。
言っとかないと、理央が不安に
思ってしまうと思った。
だから私は包み隠さず今日の
あった事を話す事にした。
「矢口君に……好きって言われた。」
理央の指が、ぴたりと止まる。
「彼氏がいるのも分かってるって。」
「でも、好きになるのは自由だから」
「って言われて……。」
理央は何も言わず、
黙って聞いてくれていた。
「でもね、私思うんだ。」
「矢口君の“好き”は、」
「ライクの意味だと思ってる。」
なんで……そう思ってしまう。
そんなの……絶対、その後輩は……
俺はあえて口にしなかった。
「……そう思った理由は?」
「私と同じ白鷺高の一年生だし、」
「後輩だし。」
「向こうは私の事知ってたみたいだけど、」
「私は、今日初めて同じ学校ってのも知った。」
「それに、私のこと憧れ」
「みたいに見てる感じだったから。」
オムライスが運ばれてくる。
「お待たせしました。」
一度、会話が途切れた。
……好きって、言われたのか……。
しかも、同じ学校って……。
明らかに下心丸出しじゃんか
そいつ……。
胸の奥に、
じわっとした熱が広がる。
正直、嫌だ。
隠そうとしても、
その感情は誤魔化せなかった。
俺の知らないところで、
琴音に“好き”って気持ちを向けるやつがいる。
しかも、すぐそばに。
晃の事といい後輩の矢口といい……
問題が山積みだなぁ……。
フォークを握る手に、
自然と力が入る。
でも……
俺は、琴音の横顔を見る。
疲れているはずなのに、
真剣に話してくれるその姿。
隠さず話してくれた。
それが、何より信頼だ。
胸の奥のざわつきが、
少しずつ形を変えていく。
「琴音。」
「……教えてくれて、ありがとう。」
俺は、静かにそう言った。
「隠されたら、たぶんもっと嫌だった。」
「うん……。」
そりゃそうだよ……。
私だってヤダもん。
理央が嫌な事はしたくない。
私には理央が一番大切だから……。
「正直言うとさ。」
俺は一度、息を吸う。
「嫉妬したよ。」
琴音が少し目を見開く。
「でも、」
そう言って
理央は、照れたように視線を逸らす。
凄く愛おしい。
「琴音がちゃんと」
「線引いてくれてるの、」
「店でも、今も、見て分かった。」
スプーンでオムライスをすくいながら、
ぽつりと続ける。
「……俺、独占欲強いんだなって思った。」
私は、理央がハニカミながら言った言葉が
嬉しくてたまらなくなる。
私は、くすっと小さく笑った。
「知ってる(笑)」
「え?」
「さっき、取られないよな?」
「って顔してた(笑)」
俺は、琴音から言われ
思わず苦笑する。