君の事好きになっても良いですか?

第16話 瑠斗の恋の決着


*瑠斗*




俺がスマイリーバーガーで
バイトを始めてから、二週間が過ぎていた。

最初の数日は、ほとんど毎回琴音先輩と
シフトが重なっていたのに、
気づけば琴音先輩と顔を合わせない日が続いている。

昨日も一緒になれなかった。

……全然、会えないな。
連絡先聞いとけば良かったと
後悔している。


朝の支度をしながら、
バイト初日の事を思い出す。

好きだと伝えた。
でも、それ以上踏み込むことはしなかった。

後輩の距離、守るって決めてたし。

彼氏もいるし……。

それでも、
学校で廊下を歩いていると、
ふと琴音先輩の姿を探してしまう。



同じ学校なのに学年が違うだけで
全然会えない。
寂しいなぁ……。


そう思う自分に、少しだけ苦笑した。

そして、俺は一つの結論に辿り着いた。

今日昼休み琴音先輩に会いに行こう。

俺は悶々としながら、
学校に行く為、家を出た。


───朝の教室



白鷺高校の朝は、いつも騒がしい。
教室に入ると、
すでに男子3人が机を囲んで話していた。

「瑠斗、おはよー」

「はよー。」
俺はあくびをしながら挨拶。

席にカバンを置いた瞬間、
すぐに話題はいつもの“恋バナ”になる。

男子だって恋バナぐらいする……。

「で?例のバイト先の先輩どうなん?」

ニヤつきながら俺に肩組んで
聞いてくるのは、友達の一人。

「2年の先輩でしょ?可愛いって噂の。」


「彼氏いるんだよな?」

もう1人の友達が、
矢継ぎ早に飛んでくる言葉に、
俺は一瞬黙る。

「……いる。」

「でも好きなんでしょ?」

「まあな……。」

否定しなかった。

「今日、昼休み会いに行く。」

教室が一瞬、静まる。
女子も自分達の話しをしながら、
こちらの話しが気になるのか、
さっきから視線は感じていた。

「え、マジ?2年の教室に?」

「勇者じゃん。」

「玉砕覚悟?」

もう1人の友達も聞いてくる。
あたかも俺がフラれるに行く前提で。

「……ちゃんと、話したいだけ。」

俺は、そう言って机に肘をついた。
すると話しはまだ続けられた。

「なあ、バイトではどうなった?」
「その小川先輩と。」

「最近一緒じゃないんでしょ?」


「二週間くらい経ったんじゃね?」

3人がわざとらしくニヤつきながら
遠慮なく聞いてくる。
コイツら……絶対、楽しんでる。

俺は机で腕を交差させてそのまま顔を埋めて
少しだけ間を空けて喋る。

「……シフト、全然合わない。」


「うわ、切ねー。」


「だから、瑠斗は」
「今日先輩に会いに行くんだ。」


「まあ……そういうこと。」


「でもさ、彼氏ってやっぱり」
「噂の、神谷崎高の人?」

その学校名が出た瞬間、
瑠斗の胸に小さな棘が刺さる。

「そう……。」

「この前校門前で、」
「目撃した女子達が、」
「キャーキャー騒いで盛り上がってたぞ。」
「イケメンすぎるー!っとか言って。」


「おい、俺の傷口に塩を塗るような」
「事を言うなよ……。」

そうだよ……めっちゃくちゃ
イケメンすぎるんだよ。
見た目も性格も良すぎるって、
少女漫画の世界か!ってツッコミたくなる。

まぁ、性格良いって俺が勝手に想像で
思ってるだけだけど。
実際喋った事ないし……。


「再質問なんだけど、」
「でも好きなんでしょ?」

間髪入れずに聞かれて、瑠斗は一瞬黙った。


好きだよ……
めっちゃ好きに決まってんじゃん。


「……うん、相当好き。」

その答えに、三人が少しだけ真面目な顔になる。

「マジか……。」

「じゃあ諦めない系?」


「いや、俺は――」


窓の外を見る。
朝の光が、校庭に反射して眩しい。

「逃げたくないだけ。」

「え?」

「ちゃんと話したい。」

友達の一人が目を見開く。

「まさか、」
「告白しに今日昼休み会いに行くの?」

「えっ!?瑠斗そーなん!?」


「行動力えぐ……。」


「違う……告白はまだしないし、」
「俺、バイト初日に告白したんだよ。」

3人の顔がポカーンっと上の空状態になる。
まぁ、びっくりだよな……。
だってこの話しするの今日が初だし。


「はあ!!??」

3人共同じタイミングで驚く。


「お前やっぱ、行動力すげぇよ。」


「でも、琴音先輩俺の好きって」
「言った気持ちをライクとして」
「解釈してるから。」


「そう言うオチか(笑)。」
「どんまい。」


「じゃ、今日は何しに行くの?」


「告白じゃない……確認。」

「確認?」

「俺の気持ちと……先輩の立場。」


少し照れくさそうに、でも誤魔化さず言う。

「そっか……」

「大人だな、お前。」

そう言われて、俺は小さく笑った。

大人なんかじゃない

ただ、好きになっただけだ。

チャイムが鳴り、担任が教室に入ってくる。

瑠斗は前を向くが、
心はもう昼休みにあった。

先輩、ちゃんと俺を見てくれるかな。

期待と不安が、同じ重さで胸に残ったまま、
その日の授業が始まった。


瑠斗 side 終わり
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