モブ姫に転生したら幽閉されていました  ~二ヶ月後に王家滅亡らしいので逃げるつもりでしたが、なぜか溺愛が始まりました~
しかし、幼く魔力もないアリエスにどうすることもできず、ただ母を見つめることしかできなかった。

「アリエスが食べなさい……」
そう言って、パンを手に取ったミラージュだったが、同じようにカビに気づいたのだろう。
言葉なくそれを皿に戻す。

「ごめんね、アリエス。お母さまが不甲斐ないばかりに」
今にも涙を流しそうな母に、アリエスは「私、おなかすいてないから」そう笑みを浮かべた。


 そう言ったミラージュが、ふいにふらりと身体を揺らした。

「……お母様?」

 アリエスが問いかけるより早く、ミラージュの足元から力が抜け、静かに床へと崩れ落ちた。
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