モブ姫に転生したら幽閉されていました  ~二ヶ月後に王家滅亡らしいので逃げるつもりでしたが、なぜか溺愛が始まりました~

「お母様!! どうしたの!! ねえ、!! だれか、誰か来て!!」

 アリエスの叫びが、冷たい石壁の部屋に反響する。
 数秒の沈黙。そして、足音が聞こえ、重い扉を開けて入ってきたのは、正妃付きの侍女カロリーヌだった。

「どうなさいましたの? そんな大きな声を出して」

 その視線は、倒れたミラージュを見下ろしたまま、冷たく動かない。
(どうしてこの人が来たの……?よりによって……。)

そう思ったアリエスだったが、そんなことを言えるわけもなく、頭を下げる。
「お医者様を……! 早く、呼んでください!」
 アリエスは必死に訴えた。しかし、カロリーヌは鼻で笑う。

「まあ……ずいぶんと手間のかかる方ですこと。これぐらいで医師を呼ぶ必要があるとでもいいたいのですか?」

「必要かって、そんな……! お母様が倒れたの、見ればわかるでしょう!」
 アリエスの声は涙で震えていたが、カロリーヌの態度は変わらない。
「そもそも、この魔力石、王妃様が使用する予定だったものですのよ。それなに倒れるなんて……まさか仮病でも使ってやらないつもりではないの?」

 そう言いながら、カロリーヌは床の魔力石を拾い上げ、汚れでも触ったかのように指先を払った。
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