妹に虐げられて魔法が使えない無能王女は、政略結婚でお飾り王太子妃になるはずなのに俺様王太子に溺愛されています
 帰国の手続きが終わり、アデルは国へ帰れる事になった。
 アデルが次へ案内されたのは応接室だった。そこにはルフェーヌが待っていた。
 「……お姉様」
 アデルの煌びやかでルフェーヌを蔑む表情は消え、疲弊しきった顔を見せている。
 ルフェーヌはアデルへ強い視線を送り、静かに話し始める。
 「ずっと我慢してきた。その我慢が当たり前になっていた。でもそんな事はどうでもいいの」
 ルフェーヌはアデルを睨む。
 「今度わたしの愛する人、ディエゴ様を傷つけたら、妹でも許さない」
 ルフェーヌは魔法力を奪うという行為をしたアデルを軽蔑する。魔法が使えず、幼少期からずっと苦しんできたルフェーヌはその辛さを故意に与えたアデルを許せない。
 ルフェーヌは応接室を出て行こうと扉の前まで歩き、立ち止まる。ルフェーヌはアデルを見ずに別れの言葉を言う。
 「さようなら」
 ルフェーヌが応接室を出て行くと小さな風が吹く。その小さな風はアデルの頬を掠める。
 「……っ!」
 アデルの頬に小さい痛みが走る。紙で指を切った時のような鋭利な痛みだ。指で頬に触れると血が滲んでいる。
 「これが、お姉様の魔法……」
 アデルは指に付いた血を見ながら、小さな風と傷からルフェーヌの大きな怒りと拒絶を感じた。
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