部長と私の秘め事
 そのあと大きな溜め息をつき、体を起こしたかと思うと私を抱き締め、押し倒してきた。

「あんまりおいたが過ぎると、プリケツペンペンだぞ」

「…………どんなエロ動画見たんです?」

 すかさず突っ込むと、彼は脱力して私の体に全体重を預けてきた。

 しばらくして、尊さんは大きな溜め息をついてぼやく。

「…………スルーしてもらえたと思ってたのに」

「いや、いいんですよ。健康な男性の証拠ですし。生身の浮気は絶対に嫌ですけど、お金払うやつは、ほぼ虚構と思ってるので。あ、でも生身でお金払うやつは嫌です」

「生身はしねぇよ。朱里がいるのに生身にいく理由がない。……あと、動画は朱里と付き合ってからはない。単に例として出しただけ」

「なんだ、つまんないの」

 そう言うと、顔を上げた尊さんはなんとも言えない顔で私を睨み、唇を摘まんでクニュクニュと揺さぶってくる。

「お前は……。どっちなんだよ。そういうの嫌なんじゃないのか?」

 どうやら尊さんは本当に私の真意が分からないみたいで、困惑した顔をしていた。

「いやー、私もお年頃ですし、ちょっとは気になっていて」

「さっきのバニーガールも食いつき良かったもんな。喜ばれるか、ドン引きされるか、どっちかの賭けだったんだけど」

「綺麗な女の人は好きですよ? 恋愛感情とかは勿論なしで、綺麗な人がエッチな目に遭ってるのって興奮しません?」

「確かに」

 尊さんは私をジッと見て言う。

「私だってムラムラした時は動画見ちゃうし、おあいこなんですよ」

「え、何のジャンル見てるんだ?」

 話題が振り出しに戻り、私は「どうぞ」と彼に手を差しだす。

「…………巨乳……」

「私は職業ものですね。制服があるとなお良し。学生は範囲外です」

「へぇー…………」

 尊さんはしげしげと私を見て、「……やっぱりコスプレするしかねぇな」と呟く。

 私もジーッと彼を見て、「やっぱりおっぱいなんだ……」と呟いた。

「……ま、まぁ、その話はまた今度。明日もあるし、寝るぞ」

 尊さんは私の頭をクシャクシャッと撫でたあと、「俺のベッドで寝るか」と言って私を抱き上げると、ポンと彼のベッドに乗せる。

 ダブルベッドに寝たあと尊さんが照明を落としたけれど、楽しくてワクワクしていて、なかなか寝付けそうにない。

「……尊さん、私、すっごく楽しい」

「そりゃ良かった。旅行に来た甲斐があった」

 彼はそう言ったけれど、私は小さく首を横に振る。

「旅行も勿論なんですけど、尊さんと一緒にいられるのが凄く嬉しい。それにこういう話をしてホテルで過ごすって、修学旅行みたいで楽しいんです」

「俺も楽しいよ。……六歳差だったら修学旅行に行けねぇしな。……大人の修学旅行だな」

「やだ、なんか急にエッチになった。AVのタイトルにありそう」

「なんでもAVにする……」

 暗い中、尊さんが「ぶふっ」と笑う音がする。

「あ……っ、アニマルビデオだもん……」

「ぶふふっ……、ニャンニャンビデオなら、幾らでも見てぇな」

「ニャンニャンとか言わないでくださいよ。エッチ」

「どこが?」

「もぉ……」

 私たちはそんな話をして小さく笑いながら、布団の中で手を繋ぎ、眠くなるのを待っていた。



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