部長と私の秘め事
「もう……、……もう、食べられないです……。先輩」
私は部屋のソファにばったりと倒れ込み、お腹をさする。
「さすがに満腹だな……。てか、悪い。ケーキ美味いからオススメしたけど、これじゃ食えないな」
「あっ、そっか。ケーキあるんだった。食べます」
真顔で起き上がると、尊さんはコントみたいにガクッとずっこけた。
「マジか」
「甘い物は別です。そしてお高めのケーキだったし、美味しいうちにいただかないと」
そう言って、私はケーキの箱を開ける。
「あ、ちょい待ち。ラウンジからフォーク借りてくるわ」
尊さんはスッと立ちあがると部屋から出て、すぐにフォークを手に戻ってきた。
「ありがとうございます。気合い! いただきます!」
私はパンッと胸の前で手を合わせ、今自分はお腹が空いているのだと言い聞かせてケーキを食べ始めた。
「おいふぃ……。めちゃめちゃおいふぃ……」
「……本当に幸せな奴だよ、お前は……。そんで胃の頑丈さがすげぇわ」
尊さんはしみじみ言い、コーヒーメーカーで二人分のコーヒーを用意する。
しばらくして、私は完全に行動不能になり、ソファに座ったまま動けなくなった。
「……風呂、あとにするか?」
「……三十分後……」
「OK」
尊さんはポンポンと私の頭を撫で、テレビをつけるとくつろぎ始めた。
「美味かったか?」
「最高です。もう思い残す事はありません」
「生きてくれ」
尊さんは笑い崩れ、私のお腹をプヨプヨとつつく。
「やめてください。腹ハラです」
「消化がよくなるツボを押してやってんだよ」
「も~」
私はうなりながら体を起こす。
そのあと、二人でテレビを見て過ごした。
全国ネットの番組もあれば、ローカル局のテレビもあり、天気予報は関東の地図ではなくて北海道の地図なので物珍しさがある。
尊さんと二人でテレビを見て笑いつつも、私はジワジワと焦りを覚えていた。
(あんまり時間ないんだった)
もうお腹は大分こなれている。
なら、あとは勇気を出すだけ。
「……露天風呂、入りましょうか」
それを聞き、尊さんは優しく微笑む。
「……大丈夫なのか?」
「……頑丈な胃ですから」
そう言うと、尊さんはクシャッと笑った。
歯を磨いたあと、尊さんは私が恥ずかしくないよう、先に二階の脱衣所で服を脱ぎ露天風呂に入った。
(改めて一緒にお風呂に入るって、恥ずかしいな……)
私は外を気にしつつ作務衣を脱ぎ、畳んだあと棚の上に置いた。
スタッフが部屋を案内してくれた時、棚の上にはランプがあったけれど、先に尊さんが外に持っていったみたいだ。
全裸のまま堂々と外に行くのはちょっと……なので、棚にふんだんに置いてあるタオルを一枚拝借し、それで体を隠してドアを開けた。
「わ、やっぱり寒いですね。二月の北海道……!」
外に出た途端、容赦のない寒さが全身を包み、私は浴槽の縁に置いてある手桶で体をサッと流すと、チャポンとお風呂に浸かった。
「……でも、いい気分」
冷え冷えの中、露天風呂に入るって贅沢だ。
「ランプがあると雰囲気がありますね」
「だな」
冷えた外気のなか、露天風呂からもうもうと湯気が立っている。
私は自然と無言になってしまい、尊さんにどのタイミングで触れたらいいのか分からず、戸惑っていた。
「来いよ」
その時、尊さんが私の手を引いて後ろから抱き締めてくる。
「っ…………」
ドキンと胸が高鳴らせた私は、羞恥で俯く。
「……朱里」
耳元で低く艶やかな声がし、私はピクッと肩を跳ねさせる。
「キスしよう」
囁いた尊さんは、チュッと音を立てて私の耳にキスをした。
吐息を震わせた私はゆっくり彼を振り向き、困った顔をして上目遣いに見る。
「俺にとっておきのデザートを食わせてくれ」
「……別腹、ですか?」
「そう、別腹。いつでもどれだけでも食える」
言ったあと、彼は顔を傾けてキスをしてきた。
柔らかい唇が押しつけられたかと思うと、ちゅっ、ちゅっ、とついばまれる。
同時に水音を立て、彼はお湯を掛けるように私の背中を撫でてきた。
夜闇がランプで幻想的に照らされているなか、小さな水音とリップ音が響く。
温泉街な上、雪が積もっているからか、外にいるのにとても静かだ。
「…………あぁ……」
濃厚なキスのあと、吐息をついて彼に身を預けると、尊さんは優しく私を抱き留めてお湯に浸かる。
「気持ちよかったか?」
耳元で囁かれ、私は小さく頷く。
「……うん……」
尊さんは膝の上で私をお姫様抱っこするように座らせ、今度は優しいキスをしてくれる。
ちゅ……と小さな音を立ててリップ音がし、唇が離れたあと、私たちはぼんやりと外を見た。
私は部屋のソファにばったりと倒れ込み、お腹をさする。
「さすがに満腹だな……。てか、悪い。ケーキ美味いからオススメしたけど、これじゃ食えないな」
「あっ、そっか。ケーキあるんだった。食べます」
真顔で起き上がると、尊さんはコントみたいにガクッとずっこけた。
「マジか」
「甘い物は別です。そしてお高めのケーキだったし、美味しいうちにいただかないと」
そう言って、私はケーキの箱を開ける。
「あ、ちょい待ち。ラウンジからフォーク借りてくるわ」
尊さんはスッと立ちあがると部屋から出て、すぐにフォークを手に戻ってきた。
「ありがとうございます。気合い! いただきます!」
私はパンッと胸の前で手を合わせ、今自分はお腹が空いているのだと言い聞かせてケーキを食べ始めた。
「おいふぃ……。めちゃめちゃおいふぃ……」
「……本当に幸せな奴だよ、お前は……。そんで胃の頑丈さがすげぇわ」
尊さんはしみじみ言い、コーヒーメーカーで二人分のコーヒーを用意する。
しばらくして、私は完全に行動不能になり、ソファに座ったまま動けなくなった。
「……風呂、あとにするか?」
「……三十分後……」
「OK」
尊さんはポンポンと私の頭を撫で、テレビをつけるとくつろぎ始めた。
「美味かったか?」
「最高です。もう思い残す事はありません」
「生きてくれ」
尊さんは笑い崩れ、私のお腹をプヨプヨとつつく。
「やめてください。腹ハラです」
「消化がよくなるツボを押してやってんだよ」
「も~」
私はうなりながら体を起こす。
そのあと、二人でテレビを見て過ごした。
全国ネットの番組もあれば、ローカル局のテレビもあり、天気予報は関東の地図ではなくて北海道の地図なので物珍しさがある。
尊さんと二人でテレビを見て笑いつつも、私はジワジワと焦りを覚えていた。
(あんまり時間ないんだった)
もうお腹は大分こなれている。
なら、あとは勇気を出すだけ。
「……露天風呂、入りましょうか」
それを聞き、尊さんは優しく微笑む。
「……大丈夫なのか?」
「……頑丈な胃ですから」
そう言うと、尊さんはクシャッと笑った。
歯を磨いたあと、尊さんは私が恥ずかしくないよう、先に二階の脱衣所で服を脱ぎ露天風呂に入った。
(改めて一緒にお風呂に入るって、恥ずかしいな……)
私は外を気にしつつ作務衣を脱ぎ、畳んだあと棚の上に置いた。
スタッフが部屋を案内してくれた時、棚の上にはランプがあったけれど、先に尊さんが外に持っていったみたいだ。
全裸のまま堂々と外に行くのはちょっと……なので、棚にふんだんに置いてあるタオルを一枚拝借し、それで体を隠してドアを開けた。
「わ、やっぱり寒いですね。二月の北海道……!」
外に出た途端、容赦のない寒さが全身を包み、私は浴槽の縁に置いてある手桶で体をサッと流すと、チャポンとお風呂に浸かった。
「……でも、いい気分」
冷え冷えの中、露天風呂に入るって贅沢だ。
「ランプがあると雰囲気がありますね」
「だな」
冷えた外気のなか、露天風呂からもうもうと湯気が立っている。
私は自然と無言になってしまい、尊さんにどのタイミングで触れたらいいのか分からず、戸惑っていた。
「来いよ」
その時、尊さんが私の手を引いて後ろから抱き締めてくる。
「っ…………」
ドキンと胸が高鳴らせた私は、羞恥で俯く。
「……朱里」
耳元で低く艶やかな声がし、私はピクッと肩を跳ねさせる。
「キスしよう」
囁いた尊さんは、チュッと音を立てて私の耳にキスをした。
吐息を震わせた私はゆっくり彼を振り向き、困った顔をして上目遣いに見る。
「俺にとっておきのデザートを食わせてくれ」
「……別腹、ですか?」
「そう、別腹。いつでもどれだけでも食える」
言ったあと、彼は顔を傾けてキスをしてきた。
柔らかい唇が押しつけられたかと思うと、ちゅっ、ちゅっ、とついばまれる。
同時に水音を立て、彼はお湯を掛けるように私の背中を撫でてきた。
夜闇がランプで幻想的に照らされているなか、小さな水音とリップ音が響く。
温泉街な上、雪が積もっているからか、外にいるのにとても静かだ。
「…………あぁ……」
濃厚なキスのあと、吐息をついて彼に身を預けると、尊さんは優しく私を抱き留めてお湯に浸かる。
「気持ちよかったか?」
耳元で囁かれ、私は小さく頷く。
「……うん……」
尊さんは膝の上で私をお姫様抱っこするように座らせ、今度は優しいキスをしてくれる。
ちゅ……と小さな音を立ててリップ音がし、唇が離れたあと、私たちはぼんやりと外を見た。