部長と私の秘め事
夜の闇に支配された温泉街は、街灯は少なめな上、ホテルや旅館の窓の明かりが見える程度だ。
静けさに包まれたなか、ハラハラと雪が降っているさまを、心地いい温泉に浸かったままいつまでも見ていたい気持ちに駆られる。
「……贅沢ですね」
「そうだな。炬燵の中で食うアイスみたいな感じ」
「んふふっ」
彼のたとえに私は思わず笑う。
「そういえば、どこかに全部氷でできた建物があって、そこにバーが開いてるってテレビで見た事があります」
「あー、トマムかな」
「トマム?」
オウム返しに尋ねると、尊さんは優しく微笑む。
「富良野あるだろ? あそこに月野リゾートのホテルがあるんだけど、アイスヴィレッジっていうのが期間限定でできるんだ。十二月の上旬から、三月半ばぐらいまでかな。あそこ、夏も雲海を見下ろせるテラスがあるし、道央もなかなか趣深いよ」
「そうなんですね。夏も冬も楽しそう」
トロンとした表情で微笑んだ私は、彼に頬を擦りつけて甘える。
「尊さんと色んな所に行きたい」
「朱里となら、何をしても楽しいだろうな」
彼もそう言ってくれて、嬉しくて胸がキューッとなる。
「しゅき……」
胸が一杯になった私は、尊さんの頬を両手で包んでちゅっちゅっとキスをした。
そんな私を見て彼は愛しそうに目を細め、ちゅっとキスを返してくれる。
「はぁ……」
また、お湯に浸かったままゆっくり景色を堪能し、私たちはなんとはなしに溜め息をつく。
満腹感とお酒を飲んだ酔い、それからお湯に浸かった気持ちよさに浸っていると、尊さんがボソッと言った。
「……惜しいな」
「ん? こんなに完璧なロケーションなのに?」
そう言って彼を見ると、尊さんは少し唇を曲げて言う。
「本当は色々考えてたんだ。露天風呂だし、色んな体位で……って」
「えっちっち」
呟くと、尊さんがチュッと音を立てて額にキスをしてきた。
「でもさ……、さすが厳寒期の札幌だろ? 実際に来てみたら思ってたよりずっと寒くて、朱里が可哀想でそんな事できなくて……。露天風呂セックスするなら、暖かい時期にすべきだったな」
「んふふ。……それは確かに」
彼の言いたい事を理解した私は、クシャッと笑った。
確かにすぐお風呂に浸かれる環境とはいえ、全裸で氷点下にもなる外気に晒されていたら、尊さんの怒りん棒が悲しん棒になってしまうかもしれない。
「やっぱり南の島に行くしかねぇかな……。思いきって、沖縄飛び越してバリとかセブとか、モルディブとか」
「セックスオンザビーチ」
「カクテルかよ」
尊さんはクスクス笑い、また私にキスをする。
「東南アジアのグルメもいいですね。受けて立ちます」
「頼もしいな、おい……。でもあっちは油が違うから、腹を壊しやすいぞ」
「慣れたらこっちのもんです」
両手で拳を握ると、尊さんは「これだから食いしん坊は」と笑って、私の額にキスをした。
「……さて、そろそろ中入るか」
「…………はい」
おしゃべりで時間を凌いでいたけれど、とうとう〝その時〟がやってきた。
「俺、先出てるな」
尊さんはそう言って温泉から上がる。
そのあとしばし一人で露天風呂の雰囲気を楽しんだあと、ランプを持って温泉を出た。
螺旋階段を下りるとリビングの照明は落ちていて、洗面所の電気がついているのみだ。
ベッドルームに向かうと、ツインベッドの手前側に尊さんがいた。
彼はすでに上半身裸になっていて、私を見て目を細めて笑う。
彼は羽根布団をめくってポンポンとマットレスを叩き、私は四つん這いになってそこへ潜り込む。
ローベッドの上で向かい合わせに座った私たちは、チュッと触れるだけのキスをする。
「……宜しくお願いします」
三つ指をついて頭を下げると、彼はフハッと笑った。
「まるで新婚初夜だな」
「練習、しましょうか」
少し冗談めかして言うと、彼は妖艶に笑って「喜んで」と言った。
静けさに包まれたなか、ハラハラと雪が降っているさまを、心地いい温泉に浸かったままいつまでも見ていたい気持ちに駆られる。
「……贅沢ですね」
「そうだな。炬燵の中で食うアイスみたいな感じ」
「んふふっ」
彼のたとえに私は思わず笑う。
「そういえば、どこかに全部氷でできた建物があって、そこにバーが開いてるってテレビで見た事があります」
「あー、トマムかな」
「トマム?」
オウム返しに尋ねると、尊さんは優しく微笑む。
「富良野あるだろ? あそこに月野リゾートのホテルがあるんだけど、アイスヴィレッジっていうのが期間限定でできるんだ。十二月の上旬から、三月半ばぐらいまでかな。あそこ、夏も雲海を見下ろせるテラスがあるし、道央もなかなか趣深いよ」
「そうなんですね。夏も冬も楽しそう」
トロンとした表情で微笑んだ私は、彼に頬を擦りつけて甘える。
「尊さんと色んな所に行きたい」
「朱里となら、何をしても楽しいだろうな」
彼もそう言ってくれて、嬉しくて胸がキューッとなる。
「しゅき……」
胸が一杯になった私は、尊さんの頬を両手で包んでちゅっちゅっとキスをした。
そんな私を見て彼は愛しそうに目を細め、ちゅっとキスを返してくれる。
「はぁ……」
また、お湯に浸かったままゆっくり景色を堪能し、私たちはなんとはなしに溜め息をつく。
満腹感とお酒を飲んだ酔い、それからお湯に浸かった気持ちよさに浸っていると、尊さんがボソッと言った。
「……惜しいな」
「ん? こんなに完璧なロケーションなのに?」
そう言って彼を見ると、尊さんは少し唇を曲げて言う。
「本当は色々考えてたんだ。露天風呂だし、色んな体位で……って」
「えっちっち」
呟くと、尊さんがチュッと音を立てて額にキスをしてきた。
「でもさ……、さすが厳寒期の札幌だろ? 実際に来てみたら思ってたよりずっと寒くて、朱里が可哀想でそんな事できなくて……。露天風呂セックスするなら、暖かい時期にすべきだったな」
「んふふ。……それは確かに」
彼の言いたい事を理解した私は、クシャッと笑った。
確かにすぐお風呂に浸かれる環境とはいえ、全裸で氷点下にもなる外気に晒されていたら、尊さんの怒りん棒が悲しん棒になってしまうかもしれない。
「やっぱり南の島に行くしかねぇかな……。思いきって、沖縄飛び越してバリとかセブとか、モルディブとか」
「セックスオンザビーチ」
「カクテルかよ」
尊さんはクスクス笑い、また私にキスをする。
「東南アジアのグルメもいいですね。受けて立ちます」
「頼もしいな、おい……。でもあっちは油が違うから、腹を壊しやすいぞ」
「慣れたらこっちのもんです」
両手で拳を握ると、尊さんは「これだから食いしん坊は」と笑って、私の額にキスをした。
「……さて、そろそろ中入るか」
「…………はい」
おしゃべりで時間を凌いでいたけれど、とうとう〝その時〟がやってきた。
「俺、先出てるな」
尊さんはそう言って温泉から上がる。
そのあとしばし一人で露天風呂の雰囲気を楽しんだあと、ランプを持って温泉を出た。
螺旋階段を下りるとリビングの照明は落ちていて、洗面所の電気がついているのみだ。
ベッドルームに向かうと、ツインベッドの手前側に尊さんがいた。
彼はすでに上半身裸になっていて、私を見て目を細めて笑う。
彼は羽根布団をめくってポンポンとマットレスを叩き、私は四つん這いになってそこへ潜り込む。
ローベッドの上で向かい合わせに座った私たちは、チュッと触れるだけのキスをする。
「……宜しくお願いします」
三つ指をついて頭を下げると、彼はフハッと笑った。
「まるで新婚初夜だな」
「練習、しましょうか」
少し冗談めかして言うと、彼は妖艶に笑って「喜んで」と言った。