想いと共に花と散る
「なんだなんだ、随分と賑やかじゃあねぇか!」
こういう時、案外すんなりと出会いというものは訪れる。
「おや、噂をすれば」
ダンダンダンと、激しい足取りで階段を登る足音が聞こえてくる。
やけに楽しそう大鳥とつねが笑い、市村が大鳥の背に隠れて身を縮こまらせた。
なんだ、何が近づいてきている。状況がわからない雪と土方だけが、身を強張らせてその時を待っていた。
「おお、客人か?」
「ただのお客人ではない。君が待っていたお二人だよ」
階段の先から現れたのは、浅黒い肌に服をだらしなく着た陽気な男だった。
その男が現れるなり、場の空気が一変する。
怯える市村、笑う大鳥、呆気に取られる雪と土方。完全に混沌とした状況だった。
「兄様ぁ!」
そして、その陽気な男ともう一人、場の空気を掻き乱す存在が暴れ出す。
「待て待て、つね! 人様の前だぜ!?」
「寂しかったのよぉ? ずうっとお仕事ばかりだったから」
「まだ離れて一刻じゃねぇか!」
本当に、先程から何を見せられているのだろう。
男につねが抱き着き、余計に市村が怯えだす。
部屋の中に視線を向けると、つねが放り出した箒が部屋の中に転がっていた。
「……帰るか」
「ですね」
「待ってくれ! 遠路遥々ここまで来たんだろう? 帰ってしまうなんて野暮じゃないかっ」
腰に抱き着いた市村を引き摺りながら、部屋の前から踵を返そうとする二人を大鳥は必死に止めた。
もちろん、帰るというのは本気である。長旅で疲れているというのに、見たくもないものを二度も見せられたのだ。
「だったら、あれをなんとかしてくれ」
「ああなると止まらないのだよ。あの二人は放っておいて、とりあえず部屋に入ろう。ね?」
無理矢理部屋の中へと押し込まれ、抵抗する間もなく扉が閉じられる。
外から男の叫び声が聞こえてきたが、誰一人として聞こえないふりを貫き通した。
そして、四人はそれぞれ革製のソファに向かい合って座る。
「いやぁ、すまないすまない。何から何まで驚かせてばかりになってしまったね」
「全くだ」
「僕も驚きました。まさか、あのお方を知らない方がいるなんて」
机を隔てているはずなのに、身を乗り出した市村の顔が雪の眼前に迫った。
そんな市村の肩を掴んで雪から引き剥がす者が二人。大鳥が肩を引き、土方が押しやった。