想いと共に花と散る
記憶というものは、誰にも干渉することのできない、
一番頑丈な記録です。
全てを覚えることはできませんが、
忘れては駄目だと思うことだけは、
覚えていたいですね。
以上、榊原蓮華草でしたっ!
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こんなはずじゃなかったんです。
『今日から、私の娘の執事として働いてもらう』
『……はいぃ!?』
ただの地味な大学生だったんです。
格ゲーが好きな、ただのオタクだったんです。
『あんたが私の執事? 有り得ないんだけど』
ですよね。そうですよね。
僕だってそう思います。
だって、雇われた先は、
世界中の金融を牛耳る、白銀の王座。
白鷺財閥。
その超超有名な大豪邸に住み込みで働くなんて、
何処のファンタジーですかって話ですよ。
『ちょっと、私の目を見て話しなさいよ』
それは無理です。
漫画の世界から出てきたような美少女を前に、
まともになんてなれるわけが。
『あのー、お嬢様……? 何故、僕が髪を梳かれているんでしょう』
『細かいことは気にしない気にしない』
気にしないと、貴方の父親に僕が叱られるんです。
『私……そんなに魅力ない?』
……そんなわけないでしょう。
貴方は、この世界の誰よりも───。
『こんっっっっっの! ポンコツ馬鹿あああああ!』
いや、なんで!!!???
家事、駄目。
性格、内気。
自己肯定感、奈落の底。
そんな僕が、一人のお嬢様に仕える変なお話。
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これは、雨が降る放課後でだけ許される恋。
しとしとと、降り続ける雨。
昇降口を出て傘をさすと、
いつもいる。
『ちょっくら入れてくんね?』
クラスで人気者のムードメーカーの彼は、
どういうわけか、私を待ち伏せするのです。
それも、
雨が降る放課後に限って。
☂
『……貸して』
背が低くて、前髪が長くて、眼鏡を掛けていて。
地味子、という言葉から生まれたような私には、
貴方は眩しすぎる。
雨雲の隙間から差し込む光、
それは貴方なのかも。
『ここ、俺の特等席だから』
『他の人なんて、絶対に入れないで』
貴方はずるい。
ずるすぎる。
☂
初めは、申し訳なさそうに。
二回目は、ちょっと強引に。
三回目は、味を占めたように。
そして四回目からは、
———……隣りにいるのが当たり前になるのです。
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あの暑い夏の日。
私は生きるために町に出た。
食べる物、着る物、飲む物。
何も持っていない私に与えられた選択肢は、
“盗む”ことだけ。
でも、無理して生きようとは思っていなかった。
理由がない。
希望がない。
夢がない。
だから、死ぬなら何処でも良かった。
『お前、どうしてあの時逃げなかった』
けれど、
貴方が逃げ道を塞いでくれたのだ。
嘘つきな貴方は、
不器用なのに優しくしてくれる。
『まだ生きたいって思っちゃった』
疫病神だと虐げられる私は、
貴方の嘘から生まれた優しさに生かされた。
だから私は、
貴方の隣で、
同じ明日を夢見て、
一緒に生きていきたかったの。
写真機を覗く貴方の顔は、
いつだって笑顔に満ちていて。
失敗作にしか見えない写真を、
擦り切れても大切にしていて。
ずっと、想ってくれていたのに。
ずっと、見てくれていたのに。
私が貴方の本心を知るのは、
貴方を失ってからだった。
榊原の処女作です。
物凄く拙い文章ですが、温かい目で読んでいただけるとありがたいです。
ちらほら改稿はしています。
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読み込み中…


