これを恋と呼んでもいいですか?
五話
五話
〇聖視点 自宅マンション 朝
聖「それにしても便利ね。食洗器って」
聖は食洗器の中に入ってある食器類を見て、皿洗いという家事の一つが減ったことに感動していた。
聖(夜にまとめて使用した食器を入れるだけで終わってるなんて!感激…!!)
昨日は何故か帆高と一緒に食事をすることになり、寂しかった心があたたかくなって
自然と笑みが漏れていた。
聖(冷たい人だと思ったのに、意外と優しいんだ)
そう思いながら、聖は早速朝食の準備に取り掛かる。
昨夜は食事後、特に会話をすることもなくそれぞれ就寝した。
帆高「おはよう」
聖「あ、おはようございます」
聖が朝食を準備している最中、帆高が起きて来た。
寝起きの少し寝ぐせが付いている帆高が意外で、目を丸くしたが、すぐに笑みに変わる。
帆高「朝食作ってたのか」
聖「そうです。っていっても、簡単なものですけど。あ、よかったら一緒に…―」
と言いかけて聖は、口を止める。
聖(ご飯はいらないって言ってたから聞くのはダメだよね。それに久東さんは干渉されるの嫌いなように見えるし)
だが、帆高はすぐに答えた。
帆高「そうだな、一緒に食べようか」
驚く聖
帆高「どうした?」
聖「いいんですか?仕事は…」
帆高「いいんだ。時間はまだある」
聖「そうですか」
帆高がいいと言っているなら、と思い、聖は二人分の朝食をダイニングテーブルに並べる。
自然に帆高もそれを手伝ってくれた。
いただきます、と言って食べ始める。
焼き魚に、味噌汁、ひじきの煮物、冷奴、サラダが並んでいる。
帆高「大学は?」
聖「今日は午後に授業がありますけど、午前はないんです。でも、バイトはあります」
帆高「バイトは減らした方がいいんじゃないか。体が持たないだろ」
聖「でも学費もあるので。それに私体は丈夫です!風邪もほぼ引きませんし」
にっと笑っていう聖に思わず帆高は笑っていた。
聖「なんで笑うんですか」
帆高「いや、ごめん。風邪をひかないことがそんなに自慢なのかと思って」
聖「強味じゃないですか!この体のお陰で頑張れます」
帆高「だが、体調崩してしまったら元も子もない。いくら丈夫でも、そこまで仕事していたら体を壊すだろうし」
聖「まぁ、そうですね。気をつけます」
帆高「そうではなくて…」
帆高が何を言いたいのか分からず、首を傾げる。
帆高「東明大学に通ってるんだろ?優秀なんだろうから、学業を優先させた方がいい」
聖(あれ?…どこの大学に通ってるかって話したっけ?)
聖「つまり…?」
帆高が咳ばらいをする。
帆高「つまり、いくつかバイトは止めて学業に専念した方がいい」
聖「そうしたいですけど…難しいかと思います。私の現状を考えると、バイトを減らすどころか、増やさないと維持できないです」
帆高「それはそうだろう。だから、この家での仕事のみにしたらいい。その分、給料は多く支給する」
聖「え?!」
聖は食事中なのに、思わず立ち上がっていた。
聖「ここ、一か月だけの期間限定の仕事じゃないんですか?」
帆高「そうだったが、思った以上に仕事ぶりもよく、君さえよければしばらくは家事を任せたい」
聖「そ、それはありがたいです!昨日も新しい仕事探してはいたんですけど、なかなかなくて…。夜の仕事しようか迷ってたんです」
帆高「夜の仕事?」
帆高が眉間にしわを寄せる。明らかに不機嫌になった。
聖「はい…。キャバクラ?とか」
帆高「はぁ…。君には絶対に向かない。絶対にやらないように」
聖「やってないのに向き不向きはわからないと思います!」
帆高「俺にはわかるんだ。君よりもずっと”先輩”だからな」
聖「……」
帆高「とにかく、給料は予定よりも多くやるからバイトは絞ってもいいと思う。それから、夜の仕事はやらないように」
聖「…わかりました」
何故かここでの仕事を継続できることになった聖は、内心では嬉しいのだが何故突然発言を変えたのか分からなかった。
朝食を終えて、帆高が家を出る。
それを見送る聖。
聖「いってらっしゃい!久東さんこそ、働きすぎないでくださいね」
帆高「俺は大丈夫だ。今日は遅くなる」
聖「そうですか。なら夕飯は…―」
帆高「もし君が自分の分を作るなら、残しておいてくれないか。君の料理はとても美味しい」
聖「……あ、はい。わかりました」
いってきます、と言って出ていく帆高を見送りながら、聖は帆高の言葉を脳内で反芻していた。
そして、聖の頬は若干上気している。
聖「なんでドキドキしてるんだろ…」
―君の料理はとても美味しい
そんなことを、言われたことは一度もない。
だから嬉しくてこんなにドキドキするのだろうか?
聖はよくわからない自分の感情を放置して、家事に取り掛かることにした。
〇帆高視点 夕方 外出先にて
ちょうど会社を出て、一度家に帰るため、車に乗っていた。
後部座席から外の景色を眺めていた。
帆高(少し時間が出来たから一旦家に帰ることにしたが…何故、俺は家に帰りたいのだろう)
答えは簡単だ。聖が心配なのだ。
連絡先をお互いに知らない。今、どこにいるのか分からないが、バイトは大丈夫なのだろうか。
早く辞めてくれるといいのに、と思いながら窓の外を見ていると
帆高「あ、」
帆高が声を出した。
運転手「どうしましたか?」
帆高「いや…なんでもない」
ちょうど車は赤信号で停車している。
帆高の視線の先には、若い男と歩く聖の姿だった。
〇聖視点 自宅マンション 朝
聖「それにしても便利ね。食洗器って」
聖は食洗器の中に入ってある食器類を見て、皿洗いという家事の一つが減ったことに感動していた。
聖(夜にまとめて使用した食器を入れるだけで終わってるなんて!感激…!!)
昨日は何故か帆高と一緒に食事をすることになり、寂しかった心があたたかくなって
自然と笑みが漏れていた。
聖(冷たい人だと思ったのに、意外と優しいんだ)
そう思いながら、聖は早速朝食の準備に取り掛かる。
昨夜は食事後、特に会話をすることもなくそれぞれ就寝した。
帆高「おはよう」
聖「あ、おはようございます」
聖が朝食を準備している最中、帆高が起きて来た。
寝起きの少し寝ぐせが付いている帆高が意外で、目を丸くしたが、すぐに笑みに変わる。
帆高「朝食作ってたのか」
聖「そうです。っていっても、簡単なものですけど。あ、よかったら一緒に…―」
と言いかけて聖は、口を止める。
聖(ご飯はいらないって言ってたから聞くのはダメだよね。それに久東さんは干渉されるの嫌いなように見えるし)
だが、帆高はすぐに答えた。
帆高「そうだな、一緒に食べようか」
驚く聖
帆高「どうした?」
聖「いいんですか?仕事は…」
帆高「いいんだ。時間はまだある」
聖「そうですか」
帆高がいいと言っているなら、と思い、聖は二人分の朝食をダイニングテーブルに並べる。
自然に帆高もそれを手伝ってくれた。
いただきます、と言って食べ始める。
焼き魚に、味噌汁、ひじきの煮物、冷奴、サラダが並んでいる。
帆高「大学は?」
聖「今日は午後に授業がありますけど、午前はないんです。でも、バイトはあります」
帆高「バイトは減らした方がいいんじゃないか。体が持たないだろ」
聖「でも学費もあるので。それに私体は丈夫です!風邪もほぼ引きませんし」
にっと笑っていう聖に思わず帆高は笑っていた。
聖「なんで笑うんですか」
帆高「いや、ごめん。風邪をひかないことがそんなに自慢なのかと思って」
聖「強味じゃないですか!この体のお陰で頑張れます」
帆高「だが、体調崩してしまったら元も子もない。いくら丈夫でも、そこまで仕事していたら体を壊すだろうし」
聖「まぁ、そうですね。気をつけます」
帆高「そうではなくて…」
帆高が何を言いたいのか分からず、首を傾げる。
帆高「東明大学に通ってるんだろ?優秀なんだろうから、学業を優先させた方がいい」
聖(あれ?…どこの大学に通ってるかって話したっけ?)
聖「つまり…?」
帆高が咳ばらいをする。
帆高「つまり、いくつかバイトは止めて学業に専念した方がいい」
聖「そうしたいですけど…難しいかと思います。私の現状を考えると、バイトを減らすどころか、増やさないと維持できないです」
帆高「それはそうだろう。だから、この家での仕事のみにしたらいい。その分、給料は多く支給する」
聖「え?!」
聖は食事中なのに、思わず立ち上がっていた。
聖「ここ、一か月だけの期間限定の仕事じゃないんですか?」
帆高「そうだったが、思った以上に仕事ぶりもよく、君さえよければしばらくは家事を任せたい」
聖「そ、それはありがたいです!昨日も新しい仕事探してはいたんですけど、なかなかなくて…。夜の仕事しようか迷ってたんです」
帆高「夜の仕事?」
帆高が眉間にしわを寄せる。明らかに不機嫌になった。
聖「はい…。キャバクラ?とか」
帆高「はぁ…。君には絶対に向かない。絶対にやらないように」
聖「やってないのに向き不向きはわからないと思います!」
帆高「俺にはわかるんだ。君よりもずっと”先輩”だからな」
聖「……」
帆高「とにかく、給料は予定よりも多くやるからバイトは絞ってもいいと思う。それから、夜の仕事はやらないように」
聖「…わかりました」
何故かここでの仕事を継続できることになった聖は、内心では嬉しいのだが何故突然発言を変えたのか分からなかった。
朝食を終えて、帆高が家を出る。
それを見送る聖。
聖「いってらっしゃい!久東さんこそ、働きすぎないでくださいね」
帆高「俺は大丈夫だ。今日は遅くなる」
聖「そうですか。なら夕飯は…―」
帆高「もし君が自分の分を作るなら、残しておいてくれないか。君の料理はとても美味しい」
聖「……あ、はい。わかりました」
いってきます、と言って出ていく帆高を見送りながら、聖は帆高の言葉を脳内で反芻していた。
そして、聖の頬は若干上気している。
聖「なんでドキドキしてるんだろ…」
―君の料理はとても美味しい
そんなことを、言われたことは一度もない。
だから嬉しくてこんなにドキドキするのだろうか?
聖はよくわからない自分の感情を放置して、家事に取り掛かることにした。
〇帆高視点 夕方 外出先にて
ちょうど会社を出て、一度家に帰るため、車に乗っていた。
後部座席から外の景色を眺めていた。
帆高(少し時間が出来たから一旦家に帰ることにしたが…何故、俺は家に帰りたいのだろう)
答えは簡単だ。聖が心配なのだ。
連絡先をお互いに知らない。今、どこにいるのか分からないが、バイトは大丈夫なのだろうか。
早く辞めてくれるといいのに、と思いながら窓の外を見ていると
帆高「あ、」
帆高が声を出した。
運転手「どうしましたか?」
帆高「いや…なんでもない」
ちょうど車は赤信号で停車している。
帆高の視線の先には、若い男と歩く聖の姿だった。