年下研修医の極甘蜜愛
「ないない。彩さん、由緒もなにも廃藩からどれだけたったと思ってるの。今や、仕える藩主もいないのに」
「でも……」
「いい機会だから打ち明けるけど、大学二年の時から好きな人がいると言い続けて、一向に彼女を紹介しないからさ。家族みんな、僕がモテなさ過ぎてイマジナリー・ガールフレンドと疑似恋愛してるんじゃないかと疑って心配してるみたいなんだよね。だから、僕としては一刻も早く彩さんを両親に紹介したいところ」
彩の手が、フォークにパスタを巻きつけたまま停止する。
「でも、まずは彩さんの気持ちが大事だし、僕の両親より彩さんのご両親のほうが先だと思うから」
にこやかな表情とは裏腹に、声から真剣な気持ちが伝わってくる。鼻の奥がつんと痛くなって、また涙が出そうになった。
「先生は、いつもそんなふうに考えてくださってたんですね」
「うん」
「ありがとうございます」
ぽたっと涙が落ちて、彩は慌てて仁寿のシャツの袖で目尻をおさえる。その時、シャツの胸元に筆記体でpassionとプリントされているのに気がついて、彩の涙腺と腹筋はあっけなく崩壊してしまった。