年下研修医の極甘蜜愛
その日は、出張に必要なものを買いそろえるために、夕方から二人でショッピングモールへ行った。街はクリスマスに向けて日に日に冬っぽく装飾され、どこもプレゼント商戦が始まっている。
ショッピングモールを歩く途中で、彩が持っている青いハンドバッグの話になって、彩はそれを買った経緯を仁寿に話した。その他にも、ワインのおいしいレストランで夜ご飯を食べながら、仕事の話や世間話など二人の話題は尽きない。
「それじゃ、彩さん。次は土曜日、病院で会おうね」
「はい。土曜日は先生たちの体制が悪いので、午前中は医局が空っぽになると思います。だから、病院に来るのはお昼近くでいいですよ。篠田先生にもそう伝えておきますね」
「うん、分かった」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
アパートの玄関先まで送ってくれた仁寿を見送って、玄関の鍵をかける。左手に残る仁寿のぬくもり。ショッピングモールで買い物をしている時も道を歩いている時も、ずっと握っていてくれたから、まだ手を繋いでいるような感じがする。
――先生は、待ってくれている。わたしが、いろいろ時間がかかってしまうかもしれないと言ったから。院外での研修で、自分だって毎日大変なのに。
仁寿の顔を思い浮かべると、胸がきゅっと締めつけられるように切ない。
――先生の思いを知った。わたしは、どうするべきだろう。
彩は、お風呂と洗濯を済ませると、仁寿にメッセージを送った。律儀にベッドの上で正座をして、言葉を選びながら真剣にスマートフォンの画面をタップする。
『今日はありがとうございました。
もうすぐ誕生日ですね。なにかほしいものはありますか?』
今週の土曜日、彩は仁寿と昼過ぎの新幹線で出張先へ向かう予定だ。日曜日が仁寿の誕生日だから、その時にプレゼントを渡そうと思いついたのだ。すぐに既読がついて、返事がきた。
『考えておくね』
メッセージと一緒に送られてきた真っ赤なハートが、仁寿のパッションを表現するように画面いっぱいにはじける。
仁寿の喜んでくれている顔が見えるようで、胸がとくとくと高鳴る。その夜、彩は幸せな気持ちで眠りについたのだった。