年下研修医の極甘蜜愛

研修医、藤崎先生



 車をおりる前に、スマートフォンをバッグから取りだしてメッセージアプリを立ちあげる。今日はあいにくの曇り空。今季一番の寒気が流れ込む影響がなんとかで、午後から数年ぶりの雪がふるそうだ。朝のローカルニュースで、いつもの気象予報士がそう言っていた。エンジンを切った車内が冷えていく速さからしても、その予報ははずれないのだろう。


『誕生日にほしいものは、決まりましたか?』


 スマートフォンの画面をスクロールする仁寿の指先にあるのは、昨日の朝届いた彩からのメッセージだ。 今までは仕事の連絡が主だったのだが、院外研修が始まってからは明らかにそれ以外の内容も増えた。


『まだ悩んでる』

『分かりました。決まったら教えてくださいね』


 メッセージに添えられた某有名キャラクターをデフォルメした手書き風のスタンプに、仕事中の颯爽とした彩とは違ったかわいい一面が垣間見えて、つい顔がにやけてしまう。残念ながらまだ合鍵を使ってもらえる仲にはなれていないけれど、仁寿は少しずつ確実に距離が縮まっているのを実感する。

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