年下研修医の極甘蜜愛

 ビジネスホテルの回転扉を通り抜けると、仁寿が腕を解いて彩の手を取った。そして、手の平をぴたりとくっつけて、お互いの指が絡み合うように繋ぐ。

 外は雪が舞って、吐く息も白い。暖房が効いたホテルを出て体感温度は急激にさがったはずなのに、頬も指先も、外気の冷たさが適度に気持ちよく感じる。彩が手を握り返して顔を見あげると、仁寿が満足そうに頷いた。


 ――中高生でももっと上手に甘えるんじゃないかな。


 自分のぎこちなさにいたたまれない気持ちになって、しかしそれを気にしていない様子の仁寿に救われる。

 二人は、通りを西に向かって進んだ。
 クリスマスが近いからだろうか。煉瓦造りの建物が並ぶブルックリン風の街並みは、街灯と色とりどりのカラー・イルミネーションの点滅で、日常を忘れてしまいそうなほどファンタスティカルで華やかな雰囲気一色だ。


「この通りをずっと行くと大学がある。ちょっと離れてはいるけど、この辺りは友達とよく遊びに来た場所なんだ。街並みが好きでね」

「そうなんですね。懐かしいですか?」

「まだ卒業して一年もたってないから、そこまで懐かしい感じではないかな。でも、当時はここへ来るたびに、いつか彩さんと並んで歩きたいと思っていたから夢みたいだよ」

「……夢みたいだなんて。またそんな大袈裟なことを言う」
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