年下研修医の極甘蜜愛
「だって、本当なら竹内が彩さんとここに来てたわけでしょ? それがタイミングよく骨折なんて、夢じゃないかって疑いたくもなるよ。しかも、誕生日だしさ」
「ほっぺた、つまみましょうか?」
「いや、遠慮しとく。彩さん、優しい顔して思いっきりつまみそうだもん」
「よくご存知ですね」
「僕と彩さんの仲だから」
温厚な仁寿とは対照的な、ラグビーで長年鍛えた肉体が自慢の熱血漢竹内の顔が頭に浮かぶ。確かに、仁寿のいうとおりだと彩は思う。酔っていたとはいえ、屈強なラガーマンがまさか側溝に足を滑らせて骨折するなんて。それも、研修医会の直前になっての出来事だった。
仕事を休むほどではなく、松葉杖をつきながらなんとか研修を継続できているから、それだけが不幸中の幸いだろう。竹内から連絡がきた時、ケガも心配だったし研修もどうなることかと気が気ではなかった。しかし、今夜は仕事の話はしないと約束した。だから、彩は竹内についてはなにも言わなかった。
「あの、せ……。じ、仁寿さん」
「ん?」
「誕生日のプレゼント、なにがいいですか? 渡せる時に渡しておかないと、またしばらく会えないから」
「そうだなぁ。なんでもいい?」
「もちろん、いいですよ」
「うーん。彩さんからもらう初めてのプレゼントだもんなぁ、すごく悩む」
「来年もありますし、そんなに悩まないでください。もっと気軽に考えていただいたほうが、わたしも身構えずに済みます」
「本当?」
仁寿が、歩きながら彩と視線を合わせるように身をかがめる。その顔がとっても嬉しそうで、彩は少し困惑してしまった。特別なことは言っていないのに、イルミネーションみたいに目をきらきら輝かせて、なにがそんなに嬉しいのだろう。