年下研修医の極甘蜜愛
「二十五歳の僕は、今以上にパワフルに生きると思う」
「どういう意味ですか?」
「彩さんが、僕の二十六回目の誕生日もお祝いしてくれるって言うから」
「あ……。わたし、つい来年もなんて言ってしまって。深い意味はないんです。ただ……」
「約束だよ? 来年の十二月九日の夜、僕のために予定を空けておいてね」
小道を渡る歩行者用信号が点滅し始めて足を止める。彩は、仁寿の視線に耐えきれなくなって、ごまかすようにうつむいた。
「いつも前向きに物事を考えるんですね」
「まぁね。特に彩さんに関しては、前向きの前向き。よそ見もしない。五年思い続けた恋の結末は、ハッピーエンドに決まってるからさ。押してだめならもっと押す、遠慮なくね」
「どこまで本気で言ってるんですか?」
笑みをこぼしながら顔をあげた彩に、仁寿が「全部、本気」と言う。慈愛に満ちたまなざしと表情に、彩はくすぐったさと胸が熱くなるのを感じた。
それからしばらく通りを歩いて、ある建物の前で仁寿が「あっ、ここ」と立ち止まった。全身を深い青にコーティングされた細長い二階建て。エントランスを挟んで左右にあるショーウィンドウには総レースやベルベットのドレスが展示され、軒先に「Le ciel bleu」――青空――と書かれた銅製の看板が掲げられている。それは、ヨーロッパの街並みに建っていそうなおしゃれな外観の洋装店だった。