年下研修医の極甘蜜愛
仁寿が、彩の手を引いて店に入る。ドアのベルがカランと上品に鳴って、モデルのように美しい顔とスタイルの女性が二人を出迎えた。奥で接客をしている店員らしき女性も、テレビから飛び出して来たような美女だ。
「いらっしゃいませ」
「先日お電話した藤崎です」
「藤崎様ですね。ありがとうございます。では、そちらのお連れ様が?」
女性に笑顔を向けられて、彩は肩をすくめて仁寿に目で助けを求める。仁寿が「そうです」と返事をして手を離すと、今度は店員が彩の手を取った。いい匂いのするきれいな手の平に乗った自分の手を見て、彩はただただ恐縮するばかり。これは一体、どういう状況なのだろう。
「彩さんの服を頼んであるから、合わせてもらって」
「え……、あの」
美女に手を引かれ、戸惑いながらあれよあれよという間に奥へ連れていかれる彩に、仁寿が「いってらっしゃい」と満面の笑みで小さく手を振る。店の奥に行くとドアがあって、隣接する部屋に大きな一枚張りの大きな鏡と化粧品がずらりと並んだドレッサーがあった。
「素敵なバッグをお持ちですね。思い入れのあるバッグだと、藤崎様からうかがっております」
店員が、彩から預かった青いハンドバッグをドレッサーの横にあるアンティーク調の棚に置く。
手術のあと頑張った自分にご褒美として、トレンド・ブランドのお店で様々なシーンで長く使えそうな本革のバッグを買った。黒や茶などの落ち着いた色ではなくブルー・カラーを選んだのは、爽やかで涼しげで、見ていると心が晴れやかになる青色が大好きだからだ。
彩がそれを仁寿に話したのは、出張前。一緒にショッピングモールへ行ったとき。ただ、何気ない会話の一部だったはずなのに――。
「靴を脱いで、こちらにどうぞ」
店員に言われるがまま、絨毯の上にあがって鏡の前に立つ。すると、店員が一着のカクテルドレスを持って来た。チュール生地のノースリーブで、エーラインのスカート部分にビーズ刺繍が施されたかわいいピンクベージュのドレスだ。
それに着替えるよう笑顔で言われ、困惑しながらコートと服を順に脱いでドレスを着る。着替えが終わると、次はドレスと同色のパンプスが出て来た。シルクサテンにジュエルバックルがあしらわれたローヒール。ドレスもパンプスもサイズがぴったりで、彩は鏡に映る自分の姿を見ながら驚きを隠せない。