年下研修医の極甘蜜愛


 スウィートルームに着く間際、ふと気になって尋ねる。なにも考えずに投げかけた質問だったのに、言ったあとで変に緊張するのはなぜだろう。


「いや、このホテルの中に入ったのは初めてだけど。どうして?」

「あ……、いえ。花火の見え方とかいろいろ詳しくご存知みたいだから」

「花火の位置を考えたら、高層階よりも少し低い所から空を見あげる感じのほうがいいかなって想像しただけだよ。花火って、普通は地上から見るものでしょ?」

「……なるほど」

「なに、彩さん。まさか、僕が違う女性と来たことがあるとでも思ったの?」


 スウィートルームのドアを開けながら、仁寿が彩の反応を愉しむように口角をあげる。彩はとてつもなく恥ずかしくなって、必死にそれを否定した。


「違いますよ。純粋に、ただ、本当にただ気になっただけです」

「そう。なら、いいけど」


 どうぞ、と仁寿が部屋の中にいざなう。部屋は、パノラマのように海を眺望できる大きな窓があるリビングルームと、同じようにオーシャンビューを満喫できるベッドルームに分かれていた。仁寿が、煌々としているリビングルームの明かりを消して、淡い間接照明だけをつける。すると、パノラマのような窓が、映画のスクリーンのように次々に打ちあがる花火を映した。


「わぁ! 素晴らしい眺めですね」


 彩は、花火の閃光に誘われるようにアンティーク調のソファーに腰かけて、窓の外に目を向ける。少し上を向いて花火を眺め、その下では花火の光を浴びて揺れる水面がキラキラと輝いていた。ため息がでるほど美しくて優雅だ。
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