年下研修医の極甘蜜愛
大切な人だから
翌朝。
一度目を開け、視線だけを動かして窓の外を見る。冬の夜明けは遅い。窓の外はまだ深い夜闇だった。目を閉じて、ベッドの中で寝起きの頭が動き出すのを待つ。五分ほどそのままじっとして、何度か身じろぎをして起きあがる。バスローブを羽織りながら隣を見ると、仁寿がうつぶせでぐっすり眠っていた。
あまりにも静かなので、ちゃんと息をしているのか不安になる。耳を仁寿の頭部に近づけると、すぅすぅと規則正しい呼吸の音が聞こえたので、安心してサイドテーブルの時計で時間を確認した。
彩の体内時計は正確だ。多少の誤差はあるが、どんな時間に寝ても必ず午前六時前には一度目が覚める。
仁寿に声をかけようとして、ふと、彩はどうしたものかと考え込んだ。二人だけのときなら、名前で呼んでも問題ないと思う。しかし、気持ちの面で公私の切り替えをうまくできるだろうか。早速、今日は仁寿と一緒に別の病院の医師や医局秘書の面々との仕事が待っている。迷った末に、彩は「先生」を選んだ。
「先生、朝ですよ」
掛布団をちょっとだけはいで、つんつんと人さし指で背中をつつく。これくらいではびくともしないのは既知の事実だから、背中に指でパッションとカタカナを書いてくすぐってみる。
「……ぅん」
クッションに埋もれた仁寿の頭部が少し動く。しかし、それ以上の反応はなかった。想定どおりだ。
急いで起こさなくても、まだ時間は十分にある。
彩は、仁寿に掛布団をかけてベッドルームをあとにした。