年下研修医の極甘蜜愛
「今日も寒いですね。近くのカフェでコーヒーを買って来ました。はい、どうぞ」
淹れたてのコーヒーが入った蓋つきの紙コップを仁寿に手渡して、彩はシートベルトをしめた。
「ありがとう」
「熱いから気をつけてくださいね」
「彩さんの優しさが身にしみる」
「そんなに緊張しないでください。今日は、よろしくお願いします」
彩の敬語は相変わらずだが、気を遣っているわけではなさそうだから、仁寿はそれについて言及しないことにした。
彩の実家まで、車で片道一時間とちょっとかかる。道中で、彩といろいろな話をして緊張がほぐれたのだろう。実家での仁寿は、いつもどおりの調子で彩の両親と楽しそうに話をしていた。彩の両親も、仁寿と会うのを楽しみにしていたようで、初めての顔合わせは終始穏やかな雰囲気だった。
しかし、あとで仁寿から聞いた話では、「彩さんと結婚を前提におつき合いさせていただいています」と口にする瞬間は、言葉にできないくらいの緊張感だったそうだ。
堅苦しい挨拶や話が済み、彩の母親が手作りしてくれた昼食をみんなでいただく。そのあと、彩の母親が食器を片づけた始めて、彩がそれを手伝おうとすると、仁寿が「僕がする」とワイシャツの袖をまくりあげた。
「いいですよ、そんな」
「僕とお母さんが片づけをしている間に、お父さんに仕事の相談をしてみたら? いいアドバイスを聞けるかもしれないよ」
仁寿がウィンクをして、彩の母親を追いかけてキッチンへ行く。