年下研修医の極甘蜜愛
実は、不眠を解消する方法を経験から一つだけ学んでいる。それは、男と寝ること。
セックスのあとは、不眠の苦しみが嘘のようにぐっすり眠れる。
依存症とか、なにか病的な中毒なのかもしれない。そう本気で悩んだ時期もある。しかし、専門のカウンセラーによれば、不眠の時以外に性行為を求めたり自慰に耽溺したり、そういった異常がないからそれは否定的らしい。
心身の限界が近づくと、まともな思考を保つのが難しくなる。体調が悪くなる。感情をコントロールできなくなる。精神が、手からこぼれる砂漠の砂のようにさらさらとした粉になっていく恐怖にかられる。
どこかの国で戦時下に、「眠ることを極限まで禁じられた時、人はどうなるのか」といった極めて非人道的な人体実験が行われたそうだが、その被験者の想像を絶する苦痛が分かるような気さえする。
――助けて。お願い、眠らせて。
藁をもつかむ思いとは、まさにこのことだ。
今夜は、歓楽街の一角にある小洒落たショットバーで相手を探そうと思っていた。睡眠導入剤よりも効果のある男。それも、お互い名前も連絡先も知らず、一回きりで終わる関係がいい。
会話もそこそこにホテルへ行って、相手が先にシャワーを浴びる時もあればこちらが先の時もある。今夜は相手が先だった。
ただ、この不眠解消法にはルールがある。
一つ、相手の部屋には入らない。二つ、自分の根城に相手を入れない。三つ、日常の生活で関わりがある人とはしない。
今まで、このルールに違反したことは一度もない。それなのに、今夜はどうしてこうなっているのだろう。ここは相手のマンションの寝室で、よく見知った男にベッドの上で組み敷かれている。