年下研修医の極甘蜜愛

「来月から竹内先生が総合病院の外科行って、亜弓先生が医師会の救急でしょ? それから、藤崎先生は精神科。他の科もローテートするから、みんな半年は帰って来ないね。でも、どうしたの? 急に研修医の話なんか持ち出して」

「懐かしくてさ。鍛えられて帰ってくるんだろうね」

「そうだね。特にうちは研修医に甘いから、よそでは苦労することも多いと思うよ」

「あのさ、彩。直球で聞くけど、彩は藤崎君のこと本当になんとも思ってないわけ?」


 昔から、由香にはどんなことも包み隠さず話してきた。苦い初体験も不眠のことも、由香にだけは打ち明けている。彼女だけがこの世で唯一、信頼できる拠り所といっても過言ではない。それくらい彩は由香に信頼を寄せて、由香も同じように彩に心を許している。

 由香は、彩が仁寿に告白されてそれを断ったのも知っている。もっとも、彼女は仁寿とも仲がよくて、いろいろと彼からの相談にも乗っているらしい。しかし、どんな相談を受けているのかは秘密だそうだ。肝心なところは口がかたい。


「あのね、由香。実はさ……」


 ハイボールに浸かった丸氷が、カランと涼やかな音を立てる。彩が声をひそめると、由香が目を大きく見開いた。


「うっそ。家に泊まったって、いつよ!」

「土曜日」


 おまたせ、と料理が運ばれてきた。とりあえず食べようか、と由香は彩の言葉を飲み込むように一人頷いて、フォークに巻きつけたそんなに辛くないペペロンチーノを頬張った。
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