年下研修医の極甘蜜愛
「ふーっ、間に合った」
彼が、息を整えながらドアを閉める。驚きのあまり声が出なかった。そして、彩がどうにか声を絞り出した時には、彼はシートベルトを締めて、いつでも出発してオーケーだよ! と言わんばかりの状態になっていた。
「……あの、藤崎先生。失礼ですけど、おりてくださいませんか?」
「一緒に帰ろうよ」
「いえ、すみません。予定があるんです」
「予定って?」
……はい?
いきなり乗り込んできてなに言ってるの?
どうしてプライベートな事情をあなたに教えなきゃいけないの?
彩は、喉の奥でわだかまる言葉をぐっと飲み下す。眠れない夜の、嫌な動悸がし始めた。強烈な眠気を感じるのに、目を閉じれば地獄のような拷問が待っている。この恐怖から逃れる方法は一つ。絶対に、由香以外には知られたくない。知られてはいけない。
「彩さん?」
顔を覗き込まれて、どこに視線を向ければいいのか分からなくなった。
貴重な時間がつぶれていく。
家に帰ってシャワーを浴びて、バーに行って、早く不眠から解放されたい。それに、二人きりのところを誰かに見られたら。
正常ではない考えで頭がいっぱいになって、嫌な動悸に体を支配されていくようだ。