年下研修医の極甘蜜愛
第二章
猛攻、開始
仁寿のマンションに着いた時、雨はすっかりあがっていた。
車を降りた仁寿が大きなリュックサックを背負って、彩の荷物とウイスキーなんかが入ったビニール袋を両手に持つ。
彩は、仁寿のリュックサックに医学書や資料がぎゅうぎゅうに詰め込まれているのを知っている。以前、医局のテーブルに置かれていたそれを動かそうとして、その重さに驚いたからだ。
「自分の荷物は自分で持ちます」
「いいよ、気にしないで。彩さんはそのバッグだけ持ってよ」
「でも」
「いいから」
バックシートからハンドバッグを取って、彩は「すみません」と小さく謝る。
「彩さん」
「どうしました?」
「僕のポケットから鍵を出してくれないかな。両手が塞がっちゃって」
こっちの、と仁寿が上着の右ポケットを顎でさす。
――だから荷物は自分で持つって言ったのに……。
心の中で思いながら、しかし相手の善意を無下にするような言葉は言いたくなくて、彩は素直に仁寿のポケットに手を入れた。深いポケットの奥で、指先に硬い金属が触れる。体温で温まった鍵。寄り添うような仁寿との近い距離に緊張してしまう。