年下研修医の極甘蜜愛
「ありがとうございます。助かりました」
「いえ、大変ですね。エレベーター、押しましょうか?」
「一階なので……」
「あっ、そうですね。ごめんなさい」
ポストに書かれた部屋番号を見て彩が気恥ずかしそうに笑うと、女性は「いいえ、いいえ」と笑顔で眉尻をさげた。
涙目の子供が「ばあばい」と彩に向かって笑顔で小さな手を振る。女性は何度か彩に会釈して、廊下の角を曲がっていった。
かわいいい男の子だった。だけど、ただかわいいと思えるのは他人だからで、ママは大変なんだろうな。
もう八時を過ぎている。これから食事を作るのだろうか。仕事をして、子供の世話をして、家事をして。見ず知らずの人だけれど、頭のさがる思いがする。
「彩さん」
仁寿に呼ばれて、はっと我に返る。彩は、慌てて仁寿に駆け寄った。
「悪いけど、僕のポストも開けてくれる?」
「分かりました」
「番号はね、七四八だよ」
ダイヤルを回してポストを開けると、中には封書とはがきが数枚入っていた。職業柄、個人情報に触れるのはよくない気がして、住所や差出人を見ないようにそれらを手に取る。