年下研修医の極甘蜜愛

 よし、と気合いを入れて話を切り出そうとする彩の顔つきが神妙になり、無意識に仁寿の手首をつかむ手に力が入る。


「もしもぉーし、彩さぁーん」


 仁寿が、黙り込んだ彩を呼ぶ。彩が声に反応して顔を向けると、ほっぺたをプクッと膨らませた仁寿が口を尖らせていじけていた。


 ――ほんと先生は、癒し系だなぁ。


 彩は、仕事のストレスをリセットするために、帰宅したあと癒しを求めて熱帯魚の動画を黙々と眺めていた時期を思い出す。仁寿の表情は、その動画に出てきた愛らしいミドリフグを彷彿とさせる。あの愛らしい姿と動きは、癒し効果抜群だった。


「は、はい。どうか、しました?」

「どうもこうも……。キスしたら神妙な顔をされて、さらに手首を締めあげられるってどうなの」

「あ……、すみません」


 パッと仁寿から手を放して、彩はもう一度「すみません」と繰り返す。


「彩さん、今なにを考えていたの?」
< 55 / 183 >

この作品をシェア

pagetop