年下研修医の極甘蜜愛


 右の卵巣に腫瘍が見つかったのは二年前の梅雨。
 初めて、婦人科で子宮頸がん検診を受けた。こっちの恥ずかしさを完全に無視して、機械的に開脚させる内診台に危うく失神しそうになったっけ。

 父と変わらない年頃の医師が、カーテンの向こうで膣に器具を突っこんで粘膜を採取する。それから子宮と卵巣も見ると言って、エコーを挿れた。エコーの先端でぐりぐりと中を探られるのは、正直ちょっと痛かった。

 そのあとの診察で医師に説明されたのは、子宮頸がんの検査結果が出るまでに日数がかかることと、右の卵巣が少し腫れているということだった。


「若い女性に多いんですよ。右の卵巣に嚢胞ができています。大抵、問題はありませんが、早めに治療したほうがいいので大きな病院で検査を受けてください。紹介状を書きますから」

「嚢胞……?」

「血液とかが溜まった袋です。手術してそこだけくり抜いてしまえば、卵巣自体は取らなくて済むから心配しなくてもいいですよ」


 生理痛が酷い時はあったけれど、他に自覚症状はなかったし、婦人科でも心配しなくてもいいと言われていたから、紹介された病院を受診したのは検診を受けてから二カ月くらいあとだったと思う。そこで造影CTとかMRIとか詳しい検査をしてもらったら、ただの嚢胞じゃなくて腫瘍だった。

 今は基準が細かくなったから、良性と判断しても問題ない程度だけど境界型でした。あと半年、一年後だったら深刻だったかもしれない。早く見つかってよかったですね。
 退院の前日。手術した医師の病状説明を聞いて、もし検診を受けてなかったら……と想像してぞっとした。

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