年下研修医の極甘蜜愛

パッション



 驚き過ぎて声も出ない。ドドッドッドドッと耳の近くで心音が響いて、持っていたマンガがばさっと床に落ちた。


「ああ、よく寝た」


 目を見開いて固まる彩の視界で、仁寿がのっそりと体を起こす。
 先生は寝起きが弱い。それを知っているから確信できる。目をこすって、さも寝起きのように装っているが、目の前にいるのはしっかり覚醒した藤崎仁寿だ、と。


「い、いつから起きてたんですか?」

「ずっと寝てたよ」

「嘘!」

「じゃあ、藤崎君のあたりから?」

「ひ……っ!」


 喉が詰まるような悲鳴のあと、彩の顔からみるみる血の気が引いていく。


 ――じゃあって、なに?


 あたりから? って、どうしてクエスチョンマーク? もしかして、ずっと起きてたの? 心躍らせて本を読んでいたのも知ってるわけ? 次から次へと疑問がわいて、頭が混乱し始める。それに追いうちをかけるように、自分の放った言葉が雷電のごとく脳を直撃した。


 ――どうして、わたしなんかを好きなのよ。

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