年下研修医の極甘蜜愛
仁寿の目がきらきらと無邪気な光彩を放っていたので、彩は思わず「パッションって」と小さく吹きだしてしまった。もうパッションとか乙女心なんて年齢は過ぎてしまったけれど、確かに懐かしさも相まって、気分が澎湃するには十分な刺激だったと思う。
――まったくもう、先生は。
予想もしない方向から球が飛んでくるからびっくりする。だけど、先生は言うことにもすることにも厭味がなくて、その優しさについ甘えてしまいたくもなる。もしそれを口にしたら、遠慮せずに甘えてよと満面の笑みが返ってくるのだろう。
その顔を想像すると、少しだけ動揺が落ち着いた。
「はい、久しぶりにピュアな気持ちを思い出しました」
「よかったね。大事だよ、それ」
「……あの。わたしの独り言、全部しっかり聞いてましたよね?」
「どうかな」
くすっと笑う仁寿の顔が近づいて、ふわりと唇が重なる。マンガの影響か、マシュマロみたいな感触に胸がじんわりどきどきした。触れるだけのキス。なのに、甘い余韻が全身に広がっていく。どこか、物足りなさを伴って――。
「お腹がすいたね」
立ちあがった仁寿が、メガネをかけてベランダ側のサッシを開ける。日差しに温まったリビングを、乾いた冬の風がさっと吹き抜けた。