年下研修医の極甘蜜愛

 彩の主治医は、見た目からの推定年齢五十歳くらいの恰幅のいい男性で、神経質そうな顔をしているが話すと物腰の柔らかい先生だ。


「変わりはありませんでしたか? 生理痛が酷いとか経血の量が増えたとか、その他にも気になる症状があれば教えてください」

「特に、なにもありませんでした」


 CTを撮ったあと診察室に呼ばれて、いつも同じような言葉を交わしてイスに座る。手術から二年。良性の腫瘍なら年に一回の婦人科検診だけで済んだのに、境界型だったから四カ月に一度、病院で画像と採血で経過をみている。気になる体調の変化はなにもない。しかし毎回、検査の結果を聞く時は、やはり不安が先行する。


「今日のCT、大丈夫でしたよ」


 モニターに表示した二つのCTの画像をスクロールしながら、先生が言う。一つは前回、もう一つは今日撮ったものらしいのだが、素人が見たってどこの部位かも分からないから、先生の「大丈夫」をそのまま鵜吞みにする。


「それから、前回採った採血ね。腫瘍マーカーも陰性、他もOK」

「よかった。安心しました」

「経過が良好だから、受診の間隔を少しあけましょうか。若いからしばらく定期的な検査をしたほうがいいけれど、お仕事をされていると受診するのも大変でしょうから。次は半年後、またお腹のCTと採血をさせてもらいますね」


 先生に御礼を言って診察室を出た瞬間、「やったー!」と両手を挙げたくなるくらい嬉しかった。ほんの少し、けれど確実に再発の恐怖から解放されるような気がしたから。

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