「こぶた」に婚活は難しい〜あなたの事なんて、狙ってませんから。〜
最悪の1人目(3)
倫子が婚活活動に興味を持ったのはお盆に実家に帰った時だった。
「えーっ!咲ちゃん結婚決まったの?」
それは幼馴染であり、従姉妹からの突然の発表だった。田舎だからお盆には親戚が集まり、墓参りに行くのだ。
「うん。そうなの。あきら君覚えてる?この前同窓会で会って、気が合って…」
恥ずかしそうに、でも嬉しそうに報告する従姉妹がどこか大人に見えた。
「お前も早く相手みつけんとなー。」
「都会のオトコはお前には高嶺の花じゃ。はよ帰ってこい。」
「うるさい!」
田舎はこれだから。すぐ結婚だの帰って来いだの。
「りんちゃんは好きな人いるの?」
咲ちゃんが聞いてきた。
「それはまだ。」
「そっか。まあ、焦ることないよ。まだ、若いしね。」
「うん。そうだよねー。なかなか出会うところがなくてさー。」
倫子は明るく返事をしたが、内心はちょっと複雑な気持ちだった。小さな頃から仲良しだった咲ちゃん。大人っぽくなってた。田舎は結婚が早い。この前も幼馴染が1人結婚したばかりだ。
(取り残された気分だなあ)
縁側でスイカを食べながら空を見ていた。
「りんちゃん。婚活してみたら?都会はそういうのたくさんあるんじゃない?」
振り返ると咲ちゃんがふと思いついたように言ってきた。
そっかあ。婚活かあ。確かに。一度行ってみるのもいいかもね。
東京に帰り、さっそくネットで検索してみると、今回の婚活ツアーを見つけたのだ。趣味と実用を兼ねた、まさしく一石二鳥。相手が見つからなくても充分楽しめるはずだ。
(年収一千万以上?マジかあ。私の周りじゃ出会うことはない人達だから、目の保養にはちょうど良いかもね!)
女子には年齢以外制限がなかったのも倫子としては良かった。人気のツアーらしく、定員オーバーだと抽選らしい。えい!やってみなきゃ分かんないもんね。深く考える間もなく急いで申し込んだ。
ちょっと出費が痛かったけど、何でもチャレンジ!
(どうか素敵な人と会えますように)
そうして、今回の参加となった。
「皆様。お待たせ致しました。水族館に到着です。」
佐々木さんのマイクの声に我に帰った。
(マズイマズイ。集中しなきゃ!)
「まずは隣の方と行動して頂きます。バスを降りましたら、ネームプレートの番号の色のグループに分かれて頂きまして、6人一組になって行動してください。2時間後にバスに集合をお願い致します。」
佐々木さんがにっこりしながら流れるように説明する。
よし!頑張るぞ!彼氏、ゲットだぜ!
倫子は心の中でガッツポーズを取った。
そんな気合いを入れていた時。
「Pちゃん。」
背後から優しく甘い声が聞こえた。
これは。悪魔の降臨を告げる声。
倫子は一気に現実に引き戻された。
「えーっ!咲ちゃん結婚決まったの?」
それは幼馴染であり、従姉妹からの突然の発表だった。田舎だからお盆には親戚が集まり、墓参りに行くのだ。
「うん。そうなの。あきら君覚えてる?この前同窓会で会って、気が合って…」
恥ずかしそうに、でも嬉しそうに報告する従姉妹がどこか大人に見えた。
「お前も早く相手みつけんとなー。」
「都会のオトコはお前には高嶺の花じゃ。はよ帰ってこい。」
「うるさい!」
田舎はこれだから。すぐ結婚だの帰って来いだの。
「りんちゃんは好きな人いるの?」
咲ちゃんが聞いてきた。
「それはまだ。」
「そっか。まあ、焦ることないよ。まだ、若いしね。」
「うん。そうだよねー。なかなか出会うところがなくてさー。」
倫子は明るく返事をしたが、内心はちょっと複雑な気持ちだった。小さな頃から仲良しだった咲ちゃん。大人っぽくなってた。田舎は結婚が早い。この前も幼馴染が1人結婚したばかりだ。
(取り残された気分だなあ)
縁側でスイカを食べながら空を見ていた。
「りんちゃん。婚活してみたら?都会はそういうのたくさんあるんじゃない?」
振り返ると咲ちゃんがふと思いついたように言ってきた。
そっかあ。婚活かあ。確かに。一度行ってみるのもいいかもね。
東京に帰り、さっそくネットで検索してみると、今回の婚活ツアーを見つけたのだ。趣味と実用を兼ねた、まさしく一石二鳥。相手が見つからなくても充分楽しめるはずだ。
(年収一千万以上?マジかあ。私の周りじゃ出会うことはない人達だから、目の保養にはちょうど良いかもね!)
女子には年齢以外制限がなかったのも倫子としては良かった。人気のツアーらしく、定員オーバーだと抽選らしい。えい!やってみなきゃ分かんないもんね。深く考える間もなく急いで申し込んだ。
ちょっと出費が痛かったけど、何でもチャレンジ!
(どうか素敵な人と会えますように)
そうして、今回の参加となった。
「皆様。お待たせ致しました。水族館に到着です。」
佐々木さんのマイクの声に我に帰った。
(マズイマズイ。集中しなきゃ!)
「まずは隣の方と行動して頂きます。バスを降りましたら、ネームプレートの番号の色のグループに分かれて頂きまして、6人一組になって行動してください。2時間後にバスに集合をお願い致します。」
佐々木さんがにっこりしながら流れるように説明する。
よし!頑張るぞ!彼氏、ゲットだぜ!
倫子は心の中でガッツポーズを取った。
そんな気合いを入れていた時。
「Pちゃん。」
背後から優しく甘い声が聞こえた。
これは。悪魔の降臨を告げる声。
倫子は一気に現実に引き戻された。