「こぶた」に婚活は難しい〜あなたの事なんて、狙ってませんから。〜
水族館の2人目(2)
ドン!
「わっ。」
そんな事を思っていたら、いきなりぶつかってきた人に背中を押されて私は前のめりによろめいた。
な、なに?
「おっと、ごめんね、Pちゃん。」
明るく爽やかに謝られ、隣りにストンと座ったのは高坂さんだった。何だかイヤな予感しかしない。
「………。」
痛くはないけどわざと肩をこれでもかと撫で回した。
「もう。高坂さんたらぁ。もっと広い所に座りましょうよぅ。」
少し鼻にかかった甘い声がして高坂さんの横に女性も座った。うわあ、きれいな人。
「いや、俺、人が多いところが苦手なんだ。なるべく周りが静かなほうがよくてね。」
ごめんね、と片手で拝むように謝る。
「そうなんだぁ。意外な一面があるのね。」
女性は微笑んだ。
(うそつき。苦手な人が人を押しのけて座るかっつーの)
ーーそして、倫子は見逃さなかった。彼女が私を睨んだことを!
これ以上巻き込まれてたまるか!
「高坂さん。後ろが空いてますよ。そっちのほうがゆっくりと座れるんじゃ……。」
倫子が言い終えないうちに後ろのベンチに女性が4人ほど一斉に座った。
「高島さん、足早すぎー。」「ちょっと、もっと離れてよ。」
「あれ?あなた、あちらのグループでしょ?」
各自が我先にと高坂さんに話しかけた。
高島さんはにっこり笑顔を女性に向けてから
「イルカショー終わってからね。」
と唇に指を立てて静かにね、と口だけを動かした。
そんな高坂さんのしぐさに女子達は完全にやられたようで((はあい))と静かになった。
二階堂さんにも、「すみません、急に割り込みまして。」
と謝罪した。
(さすが営業マン。周りへの気遣いは忘れないわね)
でも、二階堂さんは反対側を向いて返事をしなかった。
そんな中、音楽がなり、イルカショーが始まった。
「ちょっと高坂さん。狭いんで、もっと向こうに行ってくれませんか?」
ベンチタイプの椅子はまだ2.3人は座れそうなのに、高坂は倫子の隣りにピタリと体を寄せていた。
「Pちゃん、少しは察してくれないとね。ここに隙間が出来たら、女の子が入って来ちゃうでしょ。俺が、2人を相手したら修羅場になるでしょ。」
なんでわかんないかなあと、まるで私が気が利かないヤツみたいに言ってくれて。
「モテる人は言う事違いますね。だからって私を巻き込まないで下さい!婚活なんて、高坂さんには必要ないですよね。」
少し棘を込めて睨んだ。
「まあ、そうなんだけど。いろいろ事情があるんだよ。」
小さい声で端的に話してたつもりだったが周りにはそうは見えなかったらしい。
「高坂さぁん。何こそこそ話してるの?イルカショーが楽しくないなら、私と違うコーナーを見に行かない?」
可愛らしく首を傾けてしなだれかかる。
さっきから迷惑そうにしていた二階堂さんも我慢の限界のようで
「林さん。寒くないですか?中に入りましょうか?」
と露骨に高坂さんを睨んでいる。
うわあ。なんでこんな空気?さっきまでの二階堂さんとのホカホカタイムはどこに行った?
くっそー。せっかく良い雰囲気だったのに、高坂のやつ!
二階堂さんをなだめようとした時。
ジャパーン!!
周りで歓声が上がる。
「わあ!」
視線を前に戻すとイルカが並んで次々とジャンプを繰り返していた。
「二階堂さん、見て!カッコいいねー。」
さっきまでの空気を忘れて、二階堂をちょんちょんつつき、イルカショーに夢中になっていた。
最後のジャンプはかなり高く、パチパチとたくさんの拍手を送った。
夢中でショーを見ている倫子を眩しそうに見ている二階堂を高坂は頬杖をつきながら横目で見ていた。
二階堂と目が会う。高坂に見られていた事に気付いて慌てて目をそらす。高坂は目を細くした。
ここまでイルカショーを楽しんだのは倫子だけだったに違いない。
「わっ。」
そんな事を思っていたら、いきなりぶつかってきた人に背中を押されて私は前のめりによろめいた。
な、なに?
「おっと、ごめんね、Pちゃん。」
明るく爽やかに謝られ、隣りにストンと座ったのは高坂さんだった。何だかイヤな予感しかしない。
「………。」
痛くはないけどわざと肩をこれでもかと撫で回した。
「もう。高坂さんたらぁ。もっと広い所に座りましょうよぅ。」
少し鼻にかかった甘い声がして高坂さんの横に女性も座った。うわあ、きれいな人。
「いや、俺、人が多いところが苦手なんだ。なるべく周りが静かなほうがよくてね。」
ごめんね、と片手で拝むように謝る。
「そうなんだぁ。意外な一面があるのね。」
女性は微笑んだ。
(うそつき。苦手な人が人を押しのけて座るかっつーの)
ーーそして、倫子は見逃さなかった。彼女が私を睨んだことを!
これ以上巻き込まれてたまるか!
「高坂さん。後ろが空いてますよ。そっちのほうがゆっくりと座れるんじゃ……。」
倫子が言い終えないうちに後ろのベンチに女性が4人ほど一斉に座った。
「高島さん、足早すぎー。」「ちょっと、もっと離れてよ。」
「あれ?あなた、あちらのグループでしょ?」
各自が我先にと高坂さんに話しかけた。
高島さんはにっこり笑顔を女性に向けてから
「イルカショー終わってからね。」
と唇に指を立てて静かにね、と口だけを動かした。
そんな高坂さんのしぐさに女子達は完全にやられたようで((はあい))と静かになった。
二階堂さんにも、「すみません、急に割り込みまして。」
と謝罪した。
(さすが営業マン。周りへの気遣いは忘れないわね)
でも、二階堂さんは反対側を向いて返事をしなかった。
そんな中、音楽がなり、イルカショーが始まった。
「ちょっと高坂さん。狭いんで、もっと向こうに行ってくれませんか?」
ベンチタイプの椅子はまだ2.3人は座れそうなのに、高坂は倫子の隣りにピタリと体を寄せていた。
「Pちゃん、少しは察してくれないとね。ここに隙間が出来たら、女の子が入って来ちゃうでしょ。俺が、2人を相手したら修羅場になるでしょ。」
なんでわかんないかなあと、まるで私が気が利かないヤツみたいに言ってくれて。
「モテる人は言う事違いますね。だからって私を巻き込まないで下さい!婚活なんて、高坂さんには必要ないですよね。」
少し棘を込めて睨んだ。
「まあ、そうなんだけど。いろいろ事情があるんだよ。」
小さい声で端的に話してたつもりだったが周りにはそうは見えなかったらしい。
「高坂さぁん。何こそこそ話してるの?イルカショーが楽しくないなら、私と違うコーナーを見に行かない?」
可愛らしく首を傾けてしなだれかかる。
さっきから迷惑そうにしていた二階堂さんも我慢の限界のようで
「林さん。寒くないですか?中に入りましょうか?」
と露骨に高坂さんを睨んでいる。
うわあ。なんでこんな空気?さっきまでの二階堂さんとのホカホカタイムはどこに行った?
くっそー。せっかく良い雰囲気だったのに、高坂のやつ!
二階堂さんをなだめようとした時。
ジャパーン!!
周りで歓声が上がる。
「わあ!」
視線を前に戻すとイルカが並んで次々とジャンプを繰り返していた。
「二階堂さん、見て!カッコいいねー。」
さっきまでの空気を忘れて、二階堂をちょんちょんつつき、イルカショーに夢中になっていた。
最後のジャンプはかなり高く、パチパチとたくさんの拍手を送った。
夢中でショーを見ている倫子を眩しそうに見ている二階堂を高坂は頬杖をつきながら横目で見ていた。
二階堂と目が会う。高坂に見られていた事に気付いて慌てて目をそらす。高坂は目を細くした。
ここまでイルカショーを楽しんだのは倫子だけだったに違いない。