「こぶた」に婚活は難しい〜あなたの事なんて、狙ってませんから。〜

水族館の2人目(3)

(イルカショー、楽しかったなー)
高坂さんがぴったりくっついている事にモヤモヤしたけどあんなとこで修羅場に巻き込まれたくないし。人助けしたと思おう。
二階堂さんはやっぱり高坂さんに怒ってたけど、2人でショーを楽しんだし、まあいい時間だった。

ショーの後は地下の階を2人で回った。魚の回廊は上からも横からも魚が見えて…。じ~っと見入ってしまう。


「どうしたんですか?さっきから真剣な顔して。」
二階堂さんが訝しげに聞いてきた。
(あ、やば)

「あ~。実は魚見てると、イワシはタタキにしようかな、ブリは煮付けかなってどう調理しようかとつい考えちゃうんです。」
あはは、と頭に手をやった。
恥ずかしい。顔が赤らむ。
食べるのが好きな事もあるけど、調理も好きで魚もさばけるから職業病が出てしまうのだ。
二階堂さんは目をまん丸くしている。
「ち、違いますからね!くいしんぼうってわけじゃーー」
「…良かった。ボクはてっきりーーー」
「え?」

ぶーっ。ククク!
後ろから盛大な笑い声が響いた。
「さすが!Pちゃん!仕事の鬼だね。」 
高坂さんは笑いが止まらないらしくお腹を押さえて笑っている。
(………)
「高坂さん、笑いすぎよぉ。」
「確かに。ふふふ。」
(………………)
おい、チーム高坂。私は展示物じゃございませんよ。魚を見ろよ。さ・か・な!!
キロッと睨むと
「やだ、こわーい。」
女子特有の言い方が鼻につくわね。

すると
「うちの社員に意地悪しないでくれるかな?」
と高坂さんが真面目な顔になった。
女子達がビクッとする。
「彼女は俺の健康管理担当だから。Pちゃんに辞められたら俺、困るんだよね。」
と茶目っ気たっぷりにウインクして「ごめんね。」と謝った。

倫子は目をパチパチさせた。

女子達も怒らせてないと分かり、ホッとしたみたいだ。
< 7 / 22 >

この作品をシェア

pagetop