天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】
休憩のたびにインスタントラーメンと栄養ドリンクを摂取する様は、まあ激務系医師あるあるではあるのだけれど、彼の場合は度を越していた。
身を粉にするとは聞こえがいいが、いくらなんでもストイックすぎる。ある日、とてつもなく顔色が悪い日があった。もちろんいつも通りのパフォーマンスではあったけれど、なんとなく心配になって口を出してしまった。
『先生、医者の不養生を体現するのはやめてください。せめて睡眠をもう少し取るとか』
香月先生は「あ?」と眉を吊り上げ、ものすごく低い声で静かに言い放つ。
『お前に関係あるか? 二度と俺の健康に口を挟むな』
『でも』
『黙れって言っているだろ』
絶対零度のまなざしに、さすがに口を噤む。
そんな香月先生は患者のありとあらゆるデータを欲しがった。そのため教授会理事会を説得し出されたのが「患者に関するデータはとりあえず報告」というシステムだった。
※※※
「池崎先生、香月先生と仲悪いから、そこも気に食わないんだよ~。前、医療ミスギリギリのところを香月先生に助けられたくせに、メンツ潰されたと思っているような人だし」
「困ったね。私からも池崎先生に病院全体の方針だからと言っておくよ」
「え? そんな、吉武先生が睨まれてしまうんじゃ」
「あははは。いいんだよ~、志季子はああいうドクターたちには完全に煙たがられているから大丈夫。なんでも言うし、なんでも指摘する」
「ちょっと。言い方とかは気を使っているよ」
私は亜香里に向かって唇を尖らせた。
香月先生みたいな俺様と一緒にされても困る。川上さんは私と亜香里の会話に少しだけ表情を緩めてくれて、ホッとした。